飛田をめざす者: 「爆買い」襲来と一〇〇年の計 | 誇りを失った豚は、喰われるしかない。

誇りを失った豚は、喰われるしかない。

イエスはこれを聞いて言われた。
「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである。」
(マルコによる福音書2章17節)

飛田に女性を紹介するスカウトマンを務めた

 

著者による第3弾です。

 

一時期は飛田を離れ、故郷の和歌山で静かな生活を

 

送るも、知人の誘いによって現役復帰を果たし、

 

料亭経営をする奮闘記です。虚々実々。

 

 

 

 

 

飛田に女性を紹介するスカウトマンを務めた著者による

 

第3弾です。

 

何度も書いたので重複はなるたけ避けたいのですが、

 

僕が飛田の存在を知ったのは作家・黒岩重吾先生を

 

経由してのことでありまして、黒岩先生が相場で大敗し、

 

原因不明の奇病に罹って九死に一生を得るものの、

 

どん底だった時に西成で身を潜め、そこで蠢く人々の

 

生態をつづったシリーズが『西成モノ』として有名なので

 

ありまして、その中でも有名なものは「西成山王ホテル」

 

「西成十字架通り」「飛田ホテル」でしょう。

 

そんな飛田遊郭で遊ぶ「システム」は料亭で働く女性と

 

客が「偶然」恋愛関係に落ちてコトに及ぶ、という建前で

 

ありまして、料金はピンからキリまであるわけですが、

 

本書の著者である杉坂圭介氏は料亭経営者・スカウトマン

 

として飛田の表裏を知り尽くした存在であり、『飛田の子』や

 

『飛田で生きる』(ともに徳間書店)に詳しくつづられて

 

おりますが、本書はその第3弾に当たります。

 

本書の冒頭部で杉坂氏は、スカウトマンとしての仕事に

 

行き詰まり、家族を伴って自身の郷里である和歌山に

 

引っ込んで、穏やかな日々を送っていたのですが、

 

ある日、知人からの誘いで現役復帰を果たし、「姉系」と

 

呼ばれるカテゴリーの料亭の共同管理者として飛田の地

 

へと再び舞い戻ってきたのでした。

 

帰ってきた杉坂氏を待ち受けていたものは世に言う

 

「インバウンド」(外国人観光客)の大波でありまして、

 

その中でも全国の観光地、商業施設を訪れて大枚をはたく

 

中国人たちの「爆買い」が欲望の矛先をこの飛田の街に

 

向けた姿でありました。

 

「オバちゃん」とともに一筋縄ではいかない「女の子」たちの

 

マネジメントに追われつつ、言葉の壁にはじまって、性癖や

 

嗜好の異なる「遊び」の仕方と対峙せざるを得なくなった

 

杉坂氏をはじめとする飛田の様子が活写されており、

 

スマホの翻訳機能を使って客を呼び込み、交渉をしたり、

 

外国語のわかる女の子、ここでは元国際線のCAである

 

「ミキ」が入店し、瞬く間にに頭角を現していくのですが、

 

その接客の様子を読んでいて、


「あぁ、これならリピートが多くつくだろうなぁ。」


と思うとともに


「できれば彼女と一戦交えてみたいものだ…。」


という欲望が下半身から突き上がってきたものでした。

 

それはさておき、読んでいて目立ったのは「ネットの影響」が

 

多いなぁということでありまして、女の子たちもSNSを使って

 

営業をかけたり、杉坂氏たち経営者側も掲示板の評判を

 

気にしていたり、客としてくる側もネットに書き込まれた「評判」

 

を参考にして遊郭へと足を運ぶ…。その様子に驚きつつも

 

金や色、そのた諸々の欲望が大きなうねりを伴って飛田を

 

動かしていることが改めてよく理解できるものでありまして、

 

僕自身もまた、飛田遊郭の持つ妖しい輝きに惹かれて

 

しまいそうになってしまいます。

 

最後に、杉坂氏のおっしゃることをすべて信用するなら、

 

仮に将来、飛田遊郭で遊ぶとして、自身が齢30を超えて

 

しまっている現状からでは「メイン通り」や「青春通り」の女の子

 

たちを相手にするよりも、包容力があって情緒を重視する

 

「姉系」の店で遊んでみたいなぁと、そんなことも思って

 

しまったのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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