入道雲 子どもの頃…… 縦にもくもく伸びる雲を見ると 飛び込んでみたくなった 身体を預けてみたい衝動 入道雲は受け止めてくれるだろう だがそれが幻想であることに 早晩少女は気づく あれはただの水分で やがて空に消えていくもの そして私は、大人に、 妻に、母親になって、 幼稚さや衝動を嫌悪し、 冷静であろうと努める それは寂しく それ以上に誇らしい 心変わり