今思い出したところさ | 華紡ぎ -恋絵巻-

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恋の迷い道も二人ならば怖くはないだろう?

こんばんは、姫君。

今宵のご機嫌は如何かな。

 

早いもので一年の半分程を過ごしてしまったね。

今月は夏越の祓もあるし、

水無月も忘れずに用意しなければ…

と思い立ったところで、

自分が今日、一つ年を取ることを思い出したよ。

ああ、年齢の話は禁物かな。

いつまでも神子殿は花の十代、

私は齢三十一で居続けなければいけないのだからね。

 

水無月といえば西の方では

そろそろ蛍が観られる時期になってきたね。

私も近々、高雄あたりまで赴いてみようと思っているよ。

近頃は体を動かす機会も減ったから、

馬を走らせてみるのも良い気分転換になるだろう。

 

無数の蛍が乱舞する景色を

君と一緒に観てみたいものだ。

 

私の視線が蛍に行くか君かと言ったら、

もちろん君だよ、神子殿。

幻想的な景色にも劣らない、

姫君の花の容は、私にとって唯一無二の存在だからね。

 

ふふっ、からかってなどいないよ。

どうか私の言の葉を疑わずに信じておくれ。

 

 

おやすみ、私の可愛い白雪。