私の家族は、隠しごとが多かった。
家の中に友達を入れることは、まずありえない。
段ボールが山積みになり、
私の机の上まで母の物が占領していた。
友達に、家の電話を貸すことすら、拒否された。
見せない。見せられない。
服装などの外面はキレイに取り繕い、
いかにも「キチンとしている」ことをアピールしながら、
家の中は、要らぬもので埋め尽くされていた。
「誰かから聞かれたら、『大好きな家族です』って言うのよ。」
うちの母は、きちんとしていて尊敬します、
とか、
最高の家族です、
とか、
こんな美味しい食事を作ってもらっています、
とか、
そういうことを言えるのが【家族の絆】だと教え込まれてきた。
そして、それは正しいことだと思い込んできた。
でも、そんな嘘や見栄で塗り固められた家族なんて、
やがては信頼を保てなくなるだけ。
父から暴力があったって、
「うちは何も問題ないです」
と言うしかなかった。それしか方法を知らなかった。
【家族】って、みんなこういうものだと思い込んでいた。
私は、本当の【家族の愛】を知らない。
親から無理やり、「大好きだよ」と、言わされてきたのだから。
そして、親の「一緒に頑張ろうね」が
嘘だと言うことも知っている。
結局は、私一人でがんばるんだ。
家中の片付けや、学校の行事や、祖母との諍いの解決など、
「一緒に頑張ろうね」と言われて、
一歩も動き出さない母を知っている。
お金が大事、テレビのドラマが大事、その次に私。
夜、あたりが真っ暗になって迎えに来てほしい時だって、
「このテレビが終わってから」と一時間以上、ほったらかし。
二人で外出するときなんて、食事代は私が払う。
年に数回、プレゼントを買ってもらうことがあれば、
「これだけ買ってやったんだから」と何十回も繰り返す。
これが【世界一正しい】と思っていた。
親の教育は、子供にとって【すべて】なのだから。
「なにが正しく、なにが間違っているかはわからない」
と言う人もいるけれど、
明らかに、最終的に【不幸や苦しみをもたらす】ものは、
【まちがい】だ。
まちがいに気づいて、あらためて、
【幸せをもたらす】種を蒔いていけるようになった私。
つくづく、すごい進歩だと思う。