「てめぇ、女の子が話をはぐらかすのは色々あるんだよ!!てか嫌いな相手をお出かけに誘うかアホ野郎!!」


「ばい゙……。ずびばぜん゙……」

追加攻撃を避ける為、素直に謝罪。


伊達に17年生きてる訳じゃないからな!!

「ひ、氷見君!喉を突くなんて!!」


「大丈夫ッスよ桐山さん。大袈裟に見えますけど、命は取りませんから」

氷見はそう言う。


が、僕は知っている。

奴が取らないのは命だけで、指とか腕とか脚とか取るって事を。


(腕にシャーペン刺された時は焦ったよなぁ……)

しみじみ思い出すのもつかの間。


ゲームセンター特有の騒音が僕ら三人を飲み込んで行った。

クレーンゲームに、台型ゲーム、メダルゲームやプリクラ。


多種多様なゲーム機体が所狭しと並び、電光が目を焼く。

「すご……」


裕のため息は誰に届くともなく掻き消えた。

「おぉ!あれがクレーンゲームとやらか!!可愛いぬいぐるみがある!!」


「むむ!鉄犬の新作が入ってるのか!!早速プレイだ!」

僕の取り巻きは一瞬にして消えた。


ゲームセンター初心者の僕一人残して。

「………………」


今更恨み言を言うもりはない。

裕は無言で散策を開始した。


(とは言ってもなぁ。ゲームあんまり得意じゃないし……)

裕の家には携帯ゲーム機は疎か、家庭用ハードすら存在しない。


専らネットゲームをちまちまプレイしている程度だ。

「ゲームセンターに来てやる事ないとか笑えないな……」


独り言を漏らす裕。

ふと、裕はあるゲームに目を留めた。


VRダイバー。

そうとだけ書かれた円柱状のゲーム機体。


「VRか……」

ヴァーチャルリアリティのゲーム転換。


その技術が完成したのはつい最近の事だ。

従来のゲームよりも美麗で自由。


何しろ今までのゲーム常識を覆す様な性能。

流行らないはずがない。


と、思われていた。

しかし実際は一部のゲーマー以外はVRに触ろうともしなかった。

その理由、それは。


――現実より現実味を帯びていたからだ。