「裕は見た目は男だが、話していると段々女と会話している気分になるんだ。不思議だな」


自分の友達を女っぽいと言う氷見。

そんな事を言われても気持ち悪いだけだ。


ちなみに僕にホモの気はない。

あったらそれはそれでおかしいだろうが。


「僕、夏休みの課題終わるんだけど…」

「え……。マジ?」


「こんな時に嘘ついてどうするのさ…」

実際裕の課題は丸付けを残して全て終わっている。


夏休みも10日を過ぎたのだ。

課題も終わると言うもの。


「あれ。氷見何やってんのー?」

声の主は突然やってきた。


クラスの扉を豪快に開け放った人物。

「ん。優美じゃんか。どうした?」

それ程高くない背丈にはつらつとした顔立ち。


裕や社と同じクラスの日野 優美である。
「私は部活だよ~。今休憩中なのさ!」


「優美の部活は陸上だったな。この炎天下の中、よくやるぜ全く」


トコトコ歩いて来る優美と話を続ける社。

如何にも青春の一ページ、と言う雰囲気。


に、入り込めない裕。

(気まずい……)


自慢じゃないが僕は、女子に嫌われる天才らしい。

その理由となる事件は中学生の頃に遡るが、今は置いておく。


だから僕は女子がいる所では空気化する。

「うん?川村君はなんでここにいるの?」


「ひゃい!?」

ほとんど空気化していた僕に日野さんが話し掛けてきた。


普通の女子は僕に気付けないぐらい存在感を希薄にしていたと言うのに。

何故話し掛けられるんだ……!?


「えと……。氷見の…付き添い……かな」

質問を投げられた以上、答えない訳に行かない。


嫌々ながら裕は小さく答えた。

「へぇ~!氷見の勉強見て上げてるんだ!偉いじゃん川村君!!」


「そんな事……ないよ」

僕を酷い自己嫌悪が包む。

いつもこうだ。


僕は人の言う事を否定しかしない。

特に自分自身の事を。


「偉いよ。裕君は」

「……え」


僕の耳に日野さんの言葉が届く。

しかし僕が日野さんを見る頃には、彼女は教室を出ていく所だった。

「あの野郎、俺が生粋の馬鹿見たいな言い方しやがって…。なぁ、そう思うだろ裕!?」


「の、ノーコメント…」