始まりは突然にやって来る。


↓本編。





「おはようございます!」

「あぁ。おはようシロ君」


早朝、と呼ばれる朝5時。

永遠亭内部を掃除中の僕は、寝起きの永琳さんに挨拶をしていた。


どうやらこの時間まで薬の研究をしていたらしく、目の下にはうっすら隈が見える。

「大丈夫ですか永琳さん?随分辛そうですけど」


「いやね…?私の能力で薬を作るのは簡単なのだけど、細かい調整が難しいの」

そういって大きな欠伸をする永琳。


それを見ていたシロが言う。

「もう少し寝てて貰って結構ですよ。家事は僕がやりますから」


女性が苦手なシロだが、無意識の内に気遣いをする所が憎い奴である。

「う~ん…。じゃあお言葉に甘えて少し寝るわね」


「はい。ごゆっくり~」

部屋に戻って行く永琳を見送った後、シロは台所に向かう。


永遠亭の台所はかなり広い上、材料や器具など完璧に揃っている。

料理をする身には有り難い場所だ。


「さてさて…。いつも通り始めるか……」

割烹着へフォルムチェンジした僕は、姫様や永琳さん達に食べさせる朝ご飯、とは別の物を作り始めた。


昨日作った料理の余りや、簡単に作ったキュウリの浅漬け、豆腐の味噌汁等をお盆に乗せる。

ご飯がないのはご愛嬌だ。


お盆に乗るギリギリまで料理を乗せたシロは、お盆を片手にある場所に向かった。



そこは永遠亭の縁側。

目の前が竹林に面しているのが目印だ。


シロが行儀良くお盆を運んで、縁側に座る。

すると、一羽の兎が竹林から飛び出してくる。


「早く飯よこせェ人間!」


竹林に住む兎の代表者、因幡てゐだ。

「手ェぐらい洗えや。兎野郎」


飛び出てくるや否や、料理に飛びついてバクバク食べるてゐにシロはジト目。

しかしてゐは知らぬ存ぜぬ。


我が物顔で料理をがっつく。

「味付け濃くねぇか?ちょっとしょっぱいぞ」


「そりゃどーも。嫌なら食わなくて良い」

噛み合っている様で噛み合っていない会話を交わす二人。


永遠亭に住み込み始めてまだ間もないが、これがシロの日課になりつつある。


「お前が台所から食べ物を持っていくの、見たのが僕でよかったな」

「ほっとけ人間。どうせ気付かれないんだ」


お互いにキツイ言葉を交わす。

これが二人のコミュニケーションだ。


「お代わり」

「ねぇよ」




続く…。