「やり残した・・・事?」


「そうだ。だからお前がここに居る」

神と名乗る人形は丸い手を私に指す。


私が現代にやり残した事。

そのために私は現代に来た。


「・・・わからないです」

「言うと思ったぜ。ま、今日一日で思い出して終わらせて置きな」


またまたふてぶてしい台詞を吐いて神様人形は立ち上がった。

「何処行くんです?」


「一旦帰る。ここに居たら答えをねだられるからな」

「うぐっ・・・!」


考えがばれて居たらしい。

意外と鋭い。


「頑張りな。お前のやり残しは結構でかい」

まるで諭す様な口調でそう残した人形は虚空に消えた。








私は部屋の中をくまなく漁っていた。

何かヒントが見つかるかも知れない。


そう考えながら。

「ん?」


私の視界に机の上の写真立てが止まる。

二人の少女。


一人は私だ。

「あ・・・」


私は慌て今日の日付を見る。

三月九日。


「あぁ・・・。あぁあ!」

忘れていた記憶が一気に解凍して行く。


『私、三月九日が誕生日なの!』


私は部屋から飛び出した。

会わなければ。

あの子に!






「果たしてお前が正しい選択をするか、俺には解りかねるが」

早苗のベッドの下で神様人形は小さく零した。


「お前が選んだ道がお前の未来だからな。東風谷 早苗」









私は走る。

息はとっくに上がり、身体に汗が纏わり付く。


だけど足を止める訳には行かない。

「ハァ・・・ッ!ハァ・・・・ッ!」


時刻は午後5:30。

今なら間に合う。


早苗は駆ける。

現人神の自分ではない、ただの人間として。


やり残して来た事を果たす為に。








またまた次回に続く。