頑張る!!








  最終章

  「家族」


昔。

私が水狐と呼ばれ、忌み嫌われる前の話。


私は土地神の一端として生まれた。

当然家族なんて居るはずも無い。


しかしほんの僅かな時間だけ、私にも家族と言うものが居た。

最も、あいつが勝手に呼んでいただけだが。


私を奉る神社の神主だけが私を特別視しなかった。


『お前は神様でもましてや妖怪なんかじゃない』


『じゃあ何だと言うのよ。私は神様よ?』

『俺から見れば、お前はただの可愛い娘だよ』


ニカッ。と笑ったあいつの顔を見れなくて、私は顔を伏せた。


それは短い幸せの記憶。







「うおおおぉぉぉオオ!!」

「・・・っく!」


健の拳が私の顔を掠めて行く。


火の粉を纏った健は私の速さを上回って来る。

だから私は暴走するこの力を振るう。


「・・・ハァ!!」

私の周りから全て居なくなる様に。



楓が声を上げると、無数の光が空間に現れた。


まばゆい光を放って向かって来る光の鞭を受け止めようと・・・。

『危ない!!』


鋭い声が脳内を走り、グンッ!と身体が引かされる。

刹那、光の鞭が後ろにあった巨木を穿つ。


ボッ!と言う音を立て幹に小さな穴を開けた。

『受け止めようとしたら問答無用で穴だらけにされるわよ!!』

一時的に身体を支配したフローが感覚を俺に返しながら叫んで来た。


「厄介だな。その鞭」


「・・・・・・」


楓は応えない。

ただ虚無感だけが宿る瞳を向けるだけ。


「だから何だよ」


「・・・え?」

健が構えながら言葉を紡ぐ。

「当たれば死ぬだとか、お前が周りから離れる為に力を使うとか。そんなのはどうでもいいんだ。」


「・・・・・・」


「俺はただ、お前に笑って生きて欲しい。家族だからな」


ズグン。

「・・・っ!?」


『嫌・・・嫌ぁぁああアア!!』

楓が動きを止めた瞬間、空気を振動させた絶叫が響き渡った。


「うああああ!!」

楓から出現していた光の鞭が、宿主の身体を貫いた。


何本も身体を貫いて行く光。


「かえでぇぇえええ!!!!」


目の前の少女を救うために、俺は駆け出した。

一際眩しい光を放った瞬間。


ドン。と俺の胸を光が突き抜ける。


「・・・くそ・・が」

目の前を深紅で染めながら、俺は死んだ。



次回更新に続く