物語も三分の一を過ぎる頃ですね。
ずっと一人だと思っていた。
村に居た頃から感じていた孤独感をずっと抱えて生きて行くと思っていた。
でもそれは違った。
彼だけは私をしっかり見つけてくれた。
「こんな所で何やってんだ?」
「・・・」
昼休みの屋上に居た私を見つけたのは彼だった。
見付からないと言う自信が合った私は思い切って尋ねてみた。
「どうしてここが分かったの」かと。
すると彼はこう言った。
「景色が綺麗だから来ただけだ」
嘘だった。
彼は一度だって屋上に上がって来た事は無かったのだから。
「なぁ」
「・・・え?」
「パン、食うか?」
それは昔々のはなし。
「楓・・・。健が好きなのね」
アリスの問いに楓は無言で肯定した。
「・・・私は健が好き。それと同じくらいアリスやニーナも大事」
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しい」
不意に楓が立ち上がる。
「・・・時間切れ。アリス」
いつも眠そうだった眼に悲しげな光が宿っている。
「楓・・・?」
「・・・ごめんなさい」
静かに漏らした言葉を考える暇も無く、目の前から楓が飛び去った。
「楓!?かえでぇ!!」
誰に届く事も無い声が森に響き、彼女は、音無楓は姿を消した。
「カハッ!・・・ゲホゲホ」
身体が燃え上がる様だ。
逃げ出してから更に酷くなったかも知れない。
『私を解放しろ。私を解放しろ』
頭の中は常に声が流れて居て、気が狂いそうになる。
「死んで・・・堪るか」
私には分かっている。声の主と言葉の意味が。
それは周りを確実に巻き込むだろう。
「・・・死ぬ時は一人」
楓は混濁する意識の中、一人の顔を思い出す。
「・・・健」
小さく紡がれた声は虚空に消える。
次回更新に続く
ずっと一人だと思っていた。
村に居た頃から感じていた孤独感をずっと抱えて生きて行くと思っていた。
でもそれは違った。
彼だけは私をしっかり見つけてくれた。
「こんな所で何やってんだ?」
「・・・」
昼休みの屋上に居た私を見つけたのは彼だった。
見付からないと言う自信が合った私は思い切って尋ねてみた。
「どうしてここが分かったの」かと。
すると彼はこう言った。
「景色が綺麗だから来ただけだ」
嘘だった。
彼は一度だって屋上に上がって来た事は無かったのだから。
「なぁ」
「・・・え?」
「パン、食うか?」
それは昔々のはなし。
「楓・・・。健が好きなのね」
アリスの問いに楓は無言で肯定した。
「・・・私は健が好き。それと同じくらいアリスやニーナも大事」
「ありがとう。そう言って貰えると嬉しい」
不意に楓が立ち上がる。
「・・・時間切れ。アリス」
いつも眠そうだった眼に悲しげな光が宿っている。
「楓・・・?」
「・・・ごめんなさい」
静かに漏らした言葉を考える暇も無く、目の前から楓が飛び去った。
「楓!?かえでぇ!!」
誰に届く事も無い声が森に響き、彼女は、音無楓は姿を消した。
「カハッ!・・・ゲホゲホ」
身体が燃え上がる様だ。
逃げ出してから更に酷くなったかも知れない。
『私を解放しろ。私を解放しろ』
頭の中は常に声が流れて居て、気が狂いそうになる。
「死んで・・・堪るか」
私には分かっている。声の主と言葉の意味が。
それは周りを確実に巻き込むだろう。
「・・・死ぬ時は一人」
楓は混濁する意識の中、一人の顔を思い出す。
「・・・健」
小さく紡がれた声は虚空に消える。
次回更新に続く