小説吹き飛ぶってどういう事・・・。









身体が熱い。

まるで自分の中で何かがうごめいて居る様な感覚。

『・・・を・・・・ろ』


脳内に小さく声が聞こえる。

『わ・・を・・放・ろ』

次第に大きくなって行く声。

そこには明確な敵意と憎悪を宿していた。


『私を解放しろ!!』

ガバッと楓は身体を起こした。


寝巻は汗でぐっしょり濡れて居た。

「・・・時間が無い」

夜明けが近い空に届かぬ声が消えた。











「おりゃあああ!!」

「動きが雑。反撃を入れられる隙だらけ」

スパァン。と頭頂部を竹刀が駆け抜ける。

「ってぇな畜生!!」


「無駄口を叩かない。舌を噛む」

まるで氷の仮面でも被って居る様な冷たい言葉。


無表情の少女(長老の孫らしいが)と剣術の稽古をやらされて、健はボロボロになって居た。

「まだまだぁ!!」


「打ちのめしても立ち上がる根性は認めましょう」

健は疲れを感じる暇など無い程に村の修業を楽しんでいた。









「ハァ!!」

「ふんぬっ!」


時同じくして村の外れでは、クマオとニーナによる組み手が行われて居た。


「っ!なかなかやりますにゃ!」

「ふっ。そちらこそ!」


人間の倍はあるだろう腕を振るうクマオ。


それを受け止め、いなし、反撃を仕掛けるニーナ。

端から見れば、クマと少女が国技館レベルの格闘戦を繰り広げて居る様に見えるだろう。


とことん常識を壊すのが好きな氷山家の家族である。









アリスは深いため息を吐いた。

「・・・暇」


そう。彼女にはやることが無いのである。

健は修業、ニーナは組み手、楓は見当たらないわで若干落ち込んでいた。


「私はのけ者かぁ!!」

寂しさが一周して怒りに変わって来たアリスは『ウガー!』と両手を上げた。


しかしその手は直ぐに降ろされる。


「・・・寂しいよぉ」

空回りした代償は捕え所の無い虚しさだった。


「・・・そんなに寂しいの?」

「うひゃあ!?」


突然掛けられた声は真後ろに居た楓によるものだった。


「・・・アリス」

「どうしたのよ楓」


「・・・少しだけ話、聞いてくれない?」


アリスが快く頷くと、楓は深く息を吸い、話始めた。







次回更新に続く