自分は合っているのかな・・・。









「おぉおおおりゃぁああ!!」

「ただ振るだけでは武器を活かせません!!」


老人が俺に木刀を支給してから、3時間が経とうとしていた。

健は当初の目的を忘れて、老人に木刀を振り続ける。

「私達だってっ!!」

木刀の剣筋を捌きながら、老人は叫ぶ。

「彼女を、楓を贄にしたくはなかった!!しかし楓は既に心を決めていたんですよ!」

それは心の叫びだった。


まるで自分の無力さを歎く様な、そんな叫びだった。

「・・・ってねぇ」

「何ですか!」


「てめぇら分かってねぇよ!!」


声を上げ、疾走する健。

「辛いのはお前達じゃない!!なのに何で楓を支えてやる人が居ない!」

上段からの袈裟切り、続け様に燕返し、右からの胴。


声を荒げると共にスピードが増して行く健。

「例え贄になる決意が合っても、楓を支えてやらなかったのはてめぇらだ!」

遂に健の突きが老人のどてっ腹にヒットした。

「・・・それだけ楓を思って下さるお方は、貴方が初めてだ」


全力の突きにも怯まなかった老人は静かに腰を降ろした。

「これから楓の支えになって貰えないだろうか。彼女の近くには貴方がいる」


「言われなくても支えになるだろうよ」

健は木刀を投げ捨て言った。

「俺の大切な家族だからな」









戦い終わった老人から聞いた話はこうだった。

楓は贄として選ばれ、その身に水狐を宿したらしい。

そして水狐は深い眠りに着き、楓は封印の巫女として村を守っていたという。


「宿す・・・か」

水狐は強い妖術を持っており、一度暴走すれば楓は弾け飛ぶ。

自分の中に何かを宿すと言う所に健は同じ境遇を感じていた。


「健殿」

考え事をしながら歩いて居たら、クマオが目の前にいた。

「どうしたクマオ?」

「非常に申し上げにくいのですが・・・」

返答を渋るクマオ。

「言って見ろって」


「実は村に通じていた山道が落石で塞がれた様で、しばらくこの村から帰れません・・・」


クマオが告げた真実を俺はため息混じりに聞いた。


どうせこんな事だろうと思ったさ。







   第一章

    終