乾いた笑いが出るようになりました。











「こちらでございます」

白髪隻眼の老人に連れられ、俺は村の最深部の豪邸に連れて来られていた。


(ここは時間軸が違うのか・・・?)

視界に写る物全てが古い。


日本の情緒ある風景と言えばそうなのかも知れない。

「お掛け下さいな。お客人」

周りに気を取られて居る内に、俺は広間に付いて居た。

「自己紹介は要るか?」

「要りませぬよ。そちらよりも、こちらの説明が欲しいのでは?」

笑いながら語りかけて来る老人。

「水狐の里だっけか。この村の名前」

「左様。この村の名前は水狐の里。文字通り水狐を奉る為の村でございます」


「楓はここの出身で合ってるよな?」

俺の質問に老人は高らかに笑った。

「いや失敬。あんまりおかしな事を言うものですから」

この老人が言う事はいちいち俺の神経を逆なでする様だ。

「出身ではありません。彼女はこの村の贄なのですよ」









時同じくして、別世界スクエルでは。

「お父さん~!お父さぁん~!」


「何だ鈴?死にそう見たいな声を出して」

「お兄ちゃん大丈夫かな?心配だよぉ」

「心配要らないよ。だって健は・・・」

一息入れて、そして父は言う。

「俺の息子だからな!!」


「・・・ますます心配になって来たよ」










「贄・・・だと?」

「えぇ。その通りです。彼女は水狐を鎮める為に贄となった」


「・・・っざけんなよ!!」

頭より体が先に動いて居た。


足に魔力を込め、解放する。

それだけで俺の体は老人目掛け跳んでいた。


この原理はニーナから教えて貰った。

「うおぉぉぉおお!!」

ぎりぎりまで引いた右手を一気に打ち出す。


老人の体は吹き飛ばされる。

はずだった。


「無駄ですよ」

ドゴォン!と鈍い音が響き渡る。


「なっ!?」

俺は驚愕した。


老人は片手だけで俺の拳を掴んでいたから。

「まぁ落ち着きましょうか」

老人は拳を握ったまま俺に払い腰を掛ける。

それはつまり受け身が取れないと言う事で。

「げふっ!」


思い切り床に叩き付けられた俺は、呼吸を吐き出した。





次回更新に続く