主夫のコラム〜家事と育児とときどき手品〜 -13ページ目

主夫のコラム〜家事と育児とときどき手品〜

主なしごと
・主夫
・くじら保育園園長
・NPO法人ファザーリング・ジャパン関西副理事長


座右の銘
「笑ろてるパパがええやん!」
「いきあたりバッチリ」
「無限多様性の調和」

フェイスブックnoriaki.wada
ツイッターnontapapa

「私、子どもが嫌いなんです」

保育園最初のクラス懇談会。
同じ0歳児のママ13人、パパ2人の前での妻の一言目。

「だからうちは夫が子育てしてます。
よろしくお願いします」

妻の自己紹介、以上。

「子どもが嫌い」という言葉にびっくり&心配してくださったかもしれないけど、これは妻流の表現。

本当のところは「嫌い」というよりも「苦手」に近い感覚だと思う。

で、僕が見る限りそんなに苦手そうに感じないし、我が子はもちろん、親族、友達の子どもとも普通にやってる。

続きがある。
もうひとりのママが
「じつはウチも子どもあんまり好きやないねん…」
だって。

そのママも普通に子育てされています。
そして、今でも仲良くさせてもらってます。
長女が小学校に上がり、次女と二人で保育園に通っていた春、交差点におじさんがひとり立ち始めた。
歳は僕の父親くらい。
交通安全の腕章をして旗をもって。

その交差点は小学生の通学路。
毎朝たくさんの小学生がおじさんの前を通る。

おじさんが立ち始めた春、おじさんは腕組みをして仁王立ちだった。
子どもに挨拶もしない。横断の誘導もしない。
子どもも彼の前を通り過ぎるだけ。

僕は初日から「おはようございます」と言いながら彼の前を通った。
自転車のスピードで。
彼はじろりとこちらを見た。

一ヶ月後、彼は小学生に「おはよう」と言って旗を振っていた。
彼に「おはようございます」と挨拶を返して通る子もいた。

僕と彼は「おはようございます」と挨拶を交わすようになってた。

三ヶ月後、彼が挨拶にひとこと足してくれた。
「おはよう、今日も暑いなぁ!」
「毎日ごくろうさまです。行ってきます!」

この通学路は中学生も自転車で通る。
6ヶ月後、ひとりの女子中学生が自転車をとめて、彼と立ち話をしてる。
僕は信号待ちでその様子を見ていた。

なんと女子中学生は、彼とハイタッチをしてから中学校に向かった。

僕は彼がうらやましかった。女子中学生をハイタッチができる地域のオヤジを目指そうと決めた。

次女が小学生になって彼と会うことはなくなった。
僕の女子中学生とのハイタッチの夢は、まだ叶っていない。
自分の子ども時代の思い出ではない。
自分が父親になってからの思い出。

長女の保育園、最初は家から自転車で二〇分かけて送っていた。

通園路の一部は小学校の通学路。
毎朝、交通安全の旗を持ったおばさんが立って、小学生を見送っていた。
歳は僕の母親くらい。

彼女の前を最初に通った月曜日、彼女の方も見ずに通り過ぎた。自転車のスピードで。

火曜日に通ったとき、「…」何か声が聞こえた。
水曜日、「おはようございます」と聞こえた。
小学生に言ってるんだと気にとめなかった。

木曜日、通りながら彼女をチラ見。
彼女は僕と長女に向かって「おはようございます」と言ってくれてた。
リアクション出来ず通り過ぎた。
うしろから「いってらっしゃい」と聞こえた。

金曜日、「おはようございます」に対してあいまいに会釈を返しながら通り過ぎた。

また月曜日、あいまいに会釈を返す。
火曜日、同前日。
水曜日、同前日。
木曜日、ぼそぼそ早口で「おはようございます」とつぶやきながら通り過ぎる。
金曜日、同前日。

その一ヶ月後の月曜日に飛ぶ。
「おはようございます」
彼女の前で自転車をとめる。
「おはようございます。ほら、挨拶しなさい」
長女あいさつできず。
「恥ずかしいよねぇ。気をつけて行ってらっしゃい」
「行ってきます」

その二ヶ月後の月曜日、季節は夏。
僕から挨拶。
「おはようございます。暑いですねぇ」
「おはようございます。今日もごくろうさん」
楓の頭をなでてくれる。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。バテんときや~」

最初一週間、リアクションできない僕に、根気強く挨拶をつづけてくれた彼女に感謝。

僕たちが保育園の近くに引っ越すまでの二年間、彼女は僕と長女を見送ってくれた。
主夫になった当初、娘を外で遊ばせたいと思い、思い切って公園デビューをした。

近所の公園にはママと乳幼児が三組。
ママたちは談笑してた。

僕はその輪に入れなかった。
会釈すらできなかった。

結局、だまって娘を砂場に座らせて、だまってそれを一五分間眺め、だまって帰った。

当時、近所に子育て友達がおらず、話し相手のいなかった僕は、仕事から帰ってきた妻にめっちゃしゃべっていたそうだ。

「こんなにしゃべる男やとは思わんかった」

と、妻があきれるくらい。
自覚はなかったけど。

そういえば僕も、産休・育休中の妻が、仕事から帰った僕にめっちゃしゃべりかけるのを、うるさいと思ってた。

やってみてはじめてわかる、赤ちゃんと二人で家にいるママの気持ち。

あ、タイトルとずれた。
極論かもしれないけど、主夫の立場からM字カーブ問題の解消法を考えてみた。

M字カーブ問題とは、年代別終業率を年代別に横に並べたグラフにしたときに三〇代~四〇代の女性の終業率が落ち込むというもの。女性の半数が結婚・出産を機に仕事を辞めるからだ。

このM字の谷の部分の終業率をあげることを、多くの行政や経済産業界は課題としている。

逆にこのM字カーブの谷をもっと深くするべしという考えもあると聞く。

どっちにしろ、これらの議論を聞いていて違和感を感じるのは、女性のM字カーブを動かすことしか議題にあがらないことだ。

男性にM字の落ち込みはない。グラフをみる限りじぇんじぇんない。
なぜないのか?
女性がM字を描いてくれているからだ。

長時間労働が常態化している(といわれる)日本の勤労状況、貧しい(といわれる)日本の子育て支援・両立支援の環境においては、夫婦のどちかが仕事をやめざるを得ない場合が多い。
日本では、ほとんどの夫婦において女性が仕事をやめるのだ。

もちろん、そんな制度や風土を変えようという取り組みはたくさんある。
だけどそれらの取り組みから感じるメッセージのほとんどはこんな感じ。

女性を変えよう、男性はそのまま。

これが男女平等の社会ですか?

男性もM字を描けば、女性のM字は浅くなる。
女性を変える、ではなくて、男性も変わる。
両方から歩み寄る。

これが僕の考える「女性の」M字カーブ解消法です。