Poetry Of Soldiers -4ページ目

Poetry Of Soldiers

歴史に残らない英雄たちの言葉

 

 子ども頃の記憶は靄がかかったように朧で曖昧だ。少なくとも楽しい記憶はなかったのだと思う。ただ、春の宵のようにまったくの暗闇でもなくそして暖かかった気がする。子どもながらに先々のことに不安を抱えながらも、柔らかい、湯のような空気に包まれていた感覚は思い出せる。それは感覚であって脳裏を巡るような記憶ではない。

 

 気がつけば親も兄弟もいなかった。自分にも誰か身内がいたはずなのに。一緒に暮らした期間が短かったのか、顔も名前も思い出せない。成長するにつれていたはずの親兄弟のことは気にならなくなっていった。

 

 生きているという実感、共に生きる旅の仲間がいつの間にかそこにいたから。彼らと旅の目的がなくなるまで、または命が尽きるまでどこまでも旅していくのではないかと思っていた。

 

 時折、その靄がかかったような子どもの頃の感覚、あの暖かい春の宵のような自分を包む空気が蘇って、その記憶を取り戻すために生きて旅をしているのかと思うこともある。

 

 仲間たちと過ごしていた日々は誇り高く美しい。真冬の斬りつける冷気も跳ね返すような力強い感覚。そのなかで生きていた。それでも消えることのない幼い日の感覚。かつて自分が何者であったのかを知る時が近いのかもしれない、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 からっと晴れた空よりも薄曇りの隙間から日が差すような空が好きだと思った。
 旅立ちの時、決意の時、永訣の時と人生観の変わる瞬間に見た空は雲に覆われ、それでも僅かに日の光の見える空は一縷の希望を与えてくれた。
 今回もここから旅に出る。いま見上げるこの空は薄暗くてほの明るい。不安と希望と僅かな安堵と。向かう先はまだ踏み入れたことのない土地だけれど、きっと何かを掴めるだろう。
 そう信じることができた。
 
 大丈夫。きっと次の地であの人たちにまた会える。
 
 
怒りの刃は焰を纏って海を横切る

復讐の矛は氷の棺から静かに甦る


人間の、その男は初めて天の怒りを知る

驕れる人の子を追う天空の武具

行く手を阻む、海の壁に風のカーテン

巻き上がる炎、火の粉を散らして視界を奪う

やがて辿り着いた砂地で息をつき振り返る


その瞬間に

裁きの針は寸分違わずその心臓を貫く