『暗殺の森』 | 三匹の忠臣蔵

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お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

優柔不断な暗殺者の姿を描いた、ノスタルジーあふれるスパイ・サスペンス。
幼い頃に同性愛者の運転手を射殺してしまった(と思い込んでる)トラウマを抱える、ファシスト政権の秘密警察に協力するマルチェロ・クレリチ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、妻ジュリア(ステファニア・サンドレッリ)と表向きは平凡でまともな家庭を築こうとしている。

マルチェロは、かつての自分と決別しようとファシズムに身を投じ、恩師であるクアドリ教授(エンツォ・タラショ)の暗殺を引き受ける。
マルチェロはパリでの暗殺任務を隠すため、「ハネムーン」としてジュリアを連れて行くが、クアドリ教授の妻アンナ・クアドリ(ドミニク・サンダ)に惹かれてしまう。

ジュリアもアンナの妖艶な雰囲気に違和感を覚えるが、アンナはマルチェロの正体に気づく。
そんなことをよそに、クアドリ教授はマルチェロ夫妻を温かく迎え、やがて暗殺の舞台となる森へと向かう。

 

 


 

 

映像とバックサウンドだけでも楽しめる作品。
とにかくマルチェロが優柔不断なんだが、少年時代に同性愛者を射殺した時は吹っ切れてるように見えるので、あの後悔があるからかもしれない。

そしてノーテンキなジュリアは、表向きは何も知らないふりをしてるけど、雰囲気的にマルチェロの正体を悟ってたと思う。
そこへアンナが登場したことで、マルチェロの宙ぶらりんな気持ちに拍車がかかり、ジュリアが不憫にも見える。

アンナを演じたドミニク・サンダの美貌が完成された兵器のようで、単に美しいだけでなく、マルチェロの弱さを的確に突いてて、「そらこんなのに狙われたらアカンよな」となる。
だからアンナは、夫のクアドリ教授を守るボディーガードのようにも見えた。

 

結局、マルチェロは単なるファシストの暗殺者ではなく、自分の過去から逃れるために「普通の人間」になろうとした男にしか見えない。 
だから普通になりたいから結婚し、普通になりたいから体制に従う。
彼にとっては、どちらも「普通の人間」に見られるための手段だったということ。

だから暗殺の森でも自分では手を下さず、かといって暗殺を止めようともせず、ただの傍観者を決め込んでしまう。
アンナが車の窓越しに必死に助けを求めたのとは対照的で、何もせずにいるマルチェロの小物感が半端なかった。

アンナに惹かれていたはずのマルチェロが、最後には彼女を見殺しにしてしまうが、本人も後ろめたさを感じているように見える。原題は『Il conformista(体制順応者)』らしいが、揺れ動くマルチェロを見てると、体制に順応するのも大変なんやと思った。

 

 

 

『暗殺の森』