『六龍が飛ぶ』朝鮮建国を描いた傑作 | 三匹の忠臣蔵

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李成桂(イ・ソンゲ)による朝鮮王朝樹立から、その息子である李芳遠(イ・バンウォン)への権力移譲は多くのドラマ・映画で描かれている。
本作は、イ・バンウォンが高麗と決別し、新たな理想国家を築いていく姿をダイナミックに描いたドラマである。

基本的にはフィクションだが、歴史の重要ポイントは外していない。
個人的には、ユ・アインのイ・バンウォン役は少し荷が重かったような感じで、他の役者に助けられている感じがする。
配役としては、特に昭憲王后や領議政ハ・リュンの描き方が、名作『大王世宗』と違いすぎて驚いた。

物語はイ・バンウォンが幼い頃、父親の卑屈な姿にコンプレックスを抱き、何を目指していいのか分からない頃に、鄭道伝(チョン・ドジョン)と知り合い、王権を主体とした国づくりを目指す過程を描いてる。

そして共に、それぞれの理想の国を目指す仲間が集まるが、やがて敵味方になり葛藤しながらも、イ・バンウォン自身が目指す理想国家を目指す戦いが描かれていく。

この時代を描いた作品で私が好きなのが『龍の涙』と『六龍が飛ぶ』なんだが、両作において最も重要な存在は、やはり鄭夢周(チョン・モンジュ)だと思う。

初期の頃はイ・ソンゲらとともに女真や倭寇の征伐に参加し、功績を立てるが、イ・ソンゲが威化島回軍を起こし政権を掌握すると、朝鮮建国のイ・ソンゲと高麗の復興を信念として貫くチョン・モンジュは対立する。

そしてイ・ソンゲの子のイ・バンウォンによって開京の善竹橋で暗殺される。
本作ではイ・バンウォンの腹心チョ・ヨンギュ(ミン・ソンウク)によって撲殺される。

そしてもう一人がチョン・ドジョン。
彼は中国の法典を研究して「朝鮮経国典」の編纂を進め、君主は象徴的存在にとどめ、官僚中心の「宰相主義」による国づくりを目指した朝鮮建国の功臣でもある。

しかし、太祖が、神徳王后(カン氏)との間に生まれた11歳の末子・李芳碩(イ・バンソク)を王世子に指名したことで、イ・バンウォンと対立し、チョン・ドジョンもバンウォンに殺される。

本作で私が一番面白いと思ったのが、ハン・イェリが演じる谷山剣法の唯一の伝承者であるチョク・サグァンというキャラクター。

先に書いたようにチョン・モンジュがイ・バンウォンによって殺されるが、チョン・モンジュのボディーガードをやっていたのがチョク・サグァン。
チョク・サグァンはイ・バンジ(ピョン・ヨハン)とムヒュル(ユン・ギュンサン)が束になってかなわない剣の使い手で、朝鮮一の剣の使い手として描かれる。

この設定が面白いのは、チョク・サグァンが谷山剣法の唯一の伝承者であるという設定。

父であるイ・ソンゲが中央に進出し、勢力拡大の基盤づくりに協力したのが妻のカン氏(神徳王后)になり、神徳王后は高麗末期、黄海道谷山で康允成の娘として生まれ、イ・ソンゲと結婚する。

そして、風前の灯火となった高麗王は、神徳王后が生まれた谷山出身のチョク・サグァンに、王家の復権を託す。
言ってみれば、神徳王后の生まれ故郷の剣士チョク・サグァンがイ・バンウォンに復讐するという構図になっている。
これ、面白くないですか?

そしてタイトルの「六龍が飛ぶ」は、朝鮮王朝建国を称えた頌詠歌『龍飛御天歌』に由来している。
龍飛御天歌の内容は「朝鮮王朝6代祖の業績称賛」と「建国初期の歴史が朝鮮王朝の正当性を強調」していて、「東海に六つの龍が昇り舞う、天が授けた福運、古の聖賢も同意するであろう」と書かれている。

ここで言う「六龍」とは、イ・ソンゲ、イ・バンウォンなどの直系親族だが、これをブニ(シン・セギョン)、イ・バンジ、ムヒュルなどの架空のキャラクターに入れ替えている。

この他にキル・テミ(パク・ヒョックォン)など個性豊かなキャラクターも登場し、アクションも痛快でミステリー要素のあるストーリーもあり、イ・バンジとの朝鮮一の剣士を賭けた戦いは本作の見所でもある。

第1話から緻密に練られた脚本が秀逸で、アクションにも凝ったとてもく、史実を大胆にアレンジしながらも、その本質を見失わなかった歴史ドラマの傑作だと思う。

 

 

 

『六龍が飛ぶ』朝鮮建国を描いた傑作