中国の核開発の実話『横空出世(Roaring Across the Horizon)』 | 三匹の忠臣蔵

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第二次世界大戦後の1960年、将軍・馮石と科学者・陸光達が科学研究部隊を率い、ゴビ砂漠で数々の困難を乗り越えながら、中国初の原子爆弾の爆発実験を成功させるまでを描いた実話ベースの物語。
Googleにアップされていたので観てみた。
 

 

 


アメリカによる日本への原子爆弾投下を目の当たりにした毛沢東は、スターリンに原爆製造技術の供与を要請する。

当初、ソ連側は技術供与に消極的だったが、朝鮮戦争休戦から約1年半後の1954年12月2日、アメリカが台湾と米台相互防衛条約に署名したことで、中国はソ連との技術供与交渉に一旦は成功する。

翌1955年1月18日、中国人民解放軍が一江山島を奪還したことで、アメリカは中国本土への核攻撃を検討。
同年1月、毛沢東は中央委員会で中国独自の原子爆弾開発を正式に表明する。

そして核研究で先行していたアメリカ・イギリス・フランス・(西)ドイツなどから帰国した中国人科学者を集め、外国に頼らない自主開発路線へと舵を切る。

物語は将軍・馮石と科学者・陸光達の友情関係を軸に進むが、Googleの自動翻訳字幕のため、おかしなな単語の羅列も多く、絵面から状況を想像しながら観ることになる。

アメリカ人が6年、イギリスは5年、ソ連は8年かかったものを2年でしなくてはならない。
しかし科学アカデミーにはコンピューターは1台しか使えない。
だからといって近道やトリックは使えない。
そこで彼らは「そろばん」を使い、1回、2回、足りなければ3回と愚直に計算を重ねる。

実験場の建設にしても、重機や十分な機材はなく、すべて人海戦術。
CGやVFXなど当然なく、土煙がもうもうと立ち込める中での撮影は相当大変だったはずだが、実際の現場も、きっとこんな状況だったのだろうと思わされる。
そう考えると、この映画はプロパガンダ映画でありながら、同時に労働記録映画でもある。

監視塔など実験場の施設は突貫工事で建てられ、コンクリートを固めるために塩分を含んだ水を使った結果、すべてやり直しになる。
ここで馮石と陸光達は激しく対立するが、この衝突を経て二人の関係は「同志的な友情」へと変わっていく。
……たぶん。
字幕が怪しいので、ほぼ想像だが。

描写音楽で木星が出てきたり、松のカタコンブが出てきて、ストラビンスキーと、「映画音響・音楽」という概念がなかったのは、時代かお国柄なのかは分からん。

同じ結果が得られるなら、プロセスは問わない。
良くも悪くも、中国特有の柔軟さと割り切り。
だから果敢にトライ&エラーを繰り返し、膨大なデータを回収して完成させていく。
今の中国のものづくりの原点はここなのかも知れんね。

同じように核開発に固執した北朝鮮も、当時は似たような状況だったんやろうね。
1960年代と違い、核拡散防止体制が厳しい現代ではなおさら。
ソ連から技術供与を受けた中国にすら反対されながら、それでも開発に成功し、事実上の核保有国となった。

今の日本でも「核開発は意外と安上がりだ」と気軽に口にする論者がいるが、
開発できたとして、その後も“持ち続ける覚悟”が本当にあるのか。
この映画を観ると、そんな疑問が自然と浮かんできた。

 

 

中国初の原爆実験、将軍と科学者の物語