空港の入国審査というリアルな現場を描いていて、暴力も銃も出てこないのに、「国家に管理される怖さ」だけで最後まで引っ張りたおす映画。
エレナ(ブルーナ・クッシ)は、グリーンカードの抽選に当選し移民ビザを取得したことで、事実婚のパートナーであるディエゴ(アルベルト・アンマン)と共に移住のためニューヨークへやって来る。
しかし、入国審査でパスに引っかかり、二人は別室へ通される。
ここから、偽装難民かどうかを見極めるための尋問が始まる。
指紋を何度も取られ、焦った挙げ句に「ご同行ください」。
しかも携帯電話は没収。
これは正直、怖い。
審査官は事務的なだけなんだろうけど、その感情のなさが逆に恐怖に変換される。
二人は、自分たちがなぜ止められているのかも分からないまま、ただ戸惑うしかない。
事実婚のはずが、自分の知らなかったディエゴの“秘密”が暴かれていくことで、エレナは、それでも彼を信じ続けられるのかを試される。
個室で繰り広げられる会話劇のみの構成なんだが、なぜかスリル満点で、引き込まれる展開が意外と面白い。
ワンシチュエーションの密室劇で、「この二人はどうなるのか」だけが気になり、ラストを迎える。
ディエゴはともかく、エレナの表情が、観ている側の気持ちをそのまま代弁していて、「ようこそアメリカへ!」が嫌味に聞こえる。
