リーマン・ショックの前夜を、投資銀行の内部で起きた24時間の攻防を描いた社会派サスペンス。
リーマン・ショックとは、アメリカのリーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけに、世界中で発生した金融危機からくる経済不況で、この映画のモデルはリーマン・ブラザーズとされている。
バブル崩壊後の日本では輸出が打撃を受け、回復しかけた経済活動が停滞するきっかけとなった。
社員の8割を解雇する大規模なリストラが実行され、リスク管理部門のエリック・デール(スタンリー・トゥッチ)も解雇される。
彼は部下のピーター・サリヴァン(ザカリー・クイント)にUSBメモリを渡し、「気をつけろ」と言い残して会社を去る。
ピーターがデータを解析した結果、会社が保有する大量のMBS(住宅ローン担保証券)が市場価値暴落で総資産を超える、壊滅的損失を出すことが判明する。
これは、すでに何度か起きていたので、すぐに上層部に報告し、深夜の2時にもかかわらず緊急役員会が招集され、会社の存亡を賭けた決断が下される。
しかもこの兆候は、サム・ロジャース(ケヴィン・スペイシー)やサラ・ロバートソン( デミ・ムーア)からCEOのジョン・トゥルド(ジェレミー・アイアンズ)に伝えられていたというから驚く。
ストーリーはオフィスの中だけで展開されるので、ワンシチュエーションものと言っていいが、スリリングな雰囲気は十分伝わってくる。
やっぱり役者さんの演技力って大きいと思う。
個人的にはケヴィン・スペイシーの疲れ切った正義感あふれる中間管理職感、ジェレミー・アイアンズの氷のように冷たいCEO、デミ・ムーアの揺れ動く保身と葛藤が抜群に良かった。
エレベータの中で、緊張してるがロバの耳状態の清掃員を挟んで、ウィル・エマーソン(ポール・ベタニー)とサラが話しあうシーン、あれが外に漏れたら一気に取り付け騒ぎになる緊張感をはらんでて、もし清掃員が噂を広めたら違う映画になってたかもね(笑)。
ラストの「生き残るために全部売れ」という号令のもと、言った尻から解雇される人たちの表情がシビアで、会社の冷徹さが余韻を残す。
