タイトルからペットを扱ったコメディだと思ったら、愛おしい愛の物語で、韓国らしい新しい家族のあり方を描いた群像劇。
動物に対して全く理解がないコ・ミンサン(ユ・ヘジン)は、店子の動物病院「DOG DAYS」の獣医師ジニョン(キム・ソヒョン)を邪険にして追い出そうとする。
しかし、進行中のプロジェクトのために建築家ミンソ(ユン・ヨジョン)に近づく必要に迫られ、ジニョンに協力を要請する。
散歩中に病院に担ぎ込まれたミンソは伴侶犬ワンダを失うが、チョンア(キム・ユンジン)が世話をしていた。
このことを知らないミンソは、自分を助けてくれたチヌ(タン・ジュンサン)と一緒に探すことになる。
チョンアには家族となる少女チユン(ユン・チェナ)がいるが、関係がしっくりこない。ここに迷子だったワンダがサランとなり、家族の仲を取り持つことになる。
この他に、ヒョン(イ・ヒョヌ)が亡くなった彼女の伴侶犬スティングの世話をしている話も絡んでくる。
サラン(ワンダ)とスティングが人間関係を繋ぐメタファーとして、新しい家族のあり方を描いている。
打算的な思惑でミンソに近づいたミンサンが、最終的には良き理解者となり、ジニョンとも打ち解けていく描写がとても自然で、やはり役者さんたちの演技力の高さゆえ、見ていてほのぼのする。
ここにお久しぶりのキム・ユンジン、ちょっと太めのキム・ユンジンもしっかりと存在感を示していて、作品への満足度を上げている。
ラストのユ・ヘジンはもちろんいいが、久しぶりに明るいキム・ソヒョンを見た気がする。
「dog days」とは「夏の最も暑い時期」「真夏」「盛夏」らしいが、普通に日本語に直すと「犬の日」になる。
韓国には犬を使ったマイナーイメージの言葉が多いが、序盤のミンサンがまさに”ケセキ”になるわけで、タイトルにはそういう意味もあるのかも。
ラストの改心したミンサンを見ると、そう思う。
ちなみに、韓国ではペットとは言わずに「伴侶動物」と言い、「飼わずに養子縁組(사지말고 입양하세요)」という言葉がある。
都市によっては、捨て犬と養子縁組した飼い主に対し、健康診断や中性化手術代の一部を支援する施策があるらしい。
この映画も、動物保護への意識が高まっている社会を反映し、そこを狙った作品だろう。