原題『少年、天国へいく』、火事に巻き込まれた少年があの世の都合で残りの人生が60日になってしまった、死後の世界と現実の交錯がシュール(適当すぎる)で、韓国映画のファンタジー要素の先駆け的な作品。
パク・チャヌク、イ・ムヨン、チェ・ドンフンが脚本を共同で書いていて、今ではよく見かける「あの世(天国、手違いの復活)とこの世(恋、喪失、加齢)」を交差させるようなプロットはこの作品から始まったのではないかな。
死生観を軽やかに扱ってるので死に対する悲壮感はないが、とにかく各プロットが荒いので、当時この作品の評価がどうだったのか気になる。
前衛的なのか大コケかどっちかやろうね。
未婚の母の息子に生まれたペ・ネモ(パク・ヘイル)は、母の突然の死後、母が経営していた時計屋の跡地に入ってきた貸し漫画屋のイ・プジャ(ヨム・ジョンア)に興味を持つ。
プジャは、幼い息子ギチョル(リュ・ジョンファ)と暮らす未婚の母で、ネモは彼女に恋をする。
映画的には恋をする設定だが、恋というより母の代わりっぽい感じ。
その後、ネモが火事に巻き込まれて命を落とし天国へ行くと、ネモの父ペ・ドンス(オ・グァンノク)がいて、ドンスらの手違いでネモの人生が変わってしまったことがわかる。
にも関わらず、この設定が適当で、あえてそうしてるのか分からないのが、シュールでバカバカしさと隣りあわせな感じ。
今から約二十年前の作品とはいえ、設定が微妙なので感想も微妙で、パク・ヘイルやチョ・ミンス、ヨム・ジョンアが今と全く変わらないのが不思議
。
今やから言えるかもしれないが、脚本陣の豪華さが光る一方で、プロットの荒さが目立つ。
それでもファンタジーを日常に溶け込ませる設定は、当時としては画期的なのかも。