静かなドタバタ劇『お坊さまと鉄砲』 | 三匹の忠臣蔵

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ブータンの専制主義(絶対君主制)から民主主義への無血変革を、人々の日常を交えて描いた作品。
わかりやすい伏線とオチ、コメディの原点のような映画ではないだろうか。

2006年にブータンで国王ジグメ・シンゲ・ワンチュクが退位の意向を発表し、議会制民主主義に基づく立憲君主制が導入されるプロセスを描いている。
それまでブータンは絶対君主制の下で統治されていたが、国王自らが民主化を推進し、憲法制定や議会選挙の実施を通じて権力を国民に移譲した。

この過程に、アメリカからアンティークの銃を求めてやって来たバイヤーと、地元の観光ガイドが村中を巻き込み、騒動を起こす。

日本でもおなじみの光景として、選挙になると人が集まるから食べ物を振る舞う、選挙になると村が割れる。
そのしわ寄せが子どもに及び、いじめにあう。
そんなことも知らずに、父親は得体の知れない民主主義に期待する。

ある日、僧侶のタシはラマから「銃を手に入れろ」と頼まれる。
時を同じくして、ウラ村にレトロな銃があると聞いたロンがブータンを訪れ、運転手と通訳を務めるベンジとともに銃を探し回り、ようやくペンジョーから買い付ける約束をする。

一方、タシはペンジョーの家に銃があることを知り、銃を手に入れる。
翌日、決済のためにペンジョーの家を訪れたロンとベンジは、先を越されたことを知り、ここから静かなドタバタ劇が始まる。

とにかく、後ろめたさと商売っ気を隠しながら善人ぶるロンとベンジが面白い。
タシに「自分たちが先に買う約束をした」と言っても、タシには関係ない。
ここからタシにも知恵がつき、駆け引きが始まる。

一見、選挙とは何の関係もないアンティーク銃を巡る攻防だが、ラストで全てが繋がり、納得できる。
ロンとベンジには気の毒だが、これで良かったのではないかな。

そして、タシが担いでいたのは? と、知恵がついたんやろうか。