家父長制への抵抗を描いた女性連帯の原点【犬みたいな日の午後】 | 三匹の忠臣蔵

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女性の連帯や家父長制への抵抗を描いていて、公開当時の1995年を考えると大胆で社会的にインパクトのあるテーマを扱ったユニークな作品。
今でも十分通じるテーマなので、カタルシスを感じるラストは共感を得られるのではないかな。

オープニングから男女の対立と女性への暴力が描かれ、些細な暴行事件をきっかけに、女性たちは団結し、暴力を振るう夫を制止するが、誤って男性を死なせてしまう。
警察の追及から逃れるように、女性たちは屋上に籠城し、警察と対峙することになる。

イ・ギョンヨンが出ていて、籠城・死亡という展開は「国選弁護人ユン・ジンウォン(こっちは実話ベースなんだが)」を思い起こした。
鎮圧隊の隊長の風貌は、まんま朴正熙のやし。
このあたりはモデルとなる事件や事故があるので、描き方としては韓国映画の得意分野ではないかな。

タイトルの「犬のような」は、女性が「夫に犬のようにつれ回され殴られる」状況をもじっているが、これが女性たちが団結するきっかけになり、不倫女や同性愛など、社会の構造的な差別を乗り越えて連帯していく姿が描かれる。

籠城中の夫たちの「子どもの飯はどうする」という会話のギャップが、母親としての家庭的な役割と、夫たちの態度に反発する姿をコミカルに表現していて、思わず笑ってしまった。

ちょうど30年前の作品なので、派手な演出や効果音もない、シンプルに見せるだけの作品。
逆に作りが素朴だからこそ、メッセージがストレートに伝わる。
押しつけがましくなくていい。

なぜかイ・ギョンヨンの相棒の顔に都度アザがあるのが、女性への暴力のメタファーなんやろうね。
社会の道徳感を扱っているにもかかわらず重たくなく、軽く楽しめる作品に仕上がっている。
とにかく役者の皆さんが若くて、序盤の「なんでいきなり屋上で籠城?」の疑問がラストで解消され、楽しめた。