ネット界隈の虚飾を舞台に、サクラと仕込み、承認欲求に対する妬みと覗き見を描いたサスペンス・スリラー。
ネットのバズりや炎上、仕込みやサクラといった要素とスリラーの要素コミコミの巧みな脚本が見どころで、ピョン・ヨハンとシン・ヘソンのキャスティングも光る。
結局、奥行きがない虚像を見てる人間も心の闇や孤独を抱えていて、「踊る阿呆に見る阿呆」ということを改めて気づかされる。
顧客が預けた鍵でその家に入って、他人の人生をのぞき見する趣味を持った公認仲介士ク・ジョンテ(ピョン・ヨハン)は、偶然出会ったSNSインフルエンサー、ハン・ソラ(シン・ヘソン)に興味を感じて観察を始める。
やっとの思いでハン・ソラの家に出入りしたある日、ジョンテは彼女がソファで死んでる姿を発見することになる。
その後、ジョンテがソラの家に入ったことを知っている誰かが脅迫を始め、ジョンテは捜査を始めた刑事オ・ヨンジュ(イーエル)にマークされる。
ジョンテは身の潔白を証明するために犯人探しをするうちに、ソラとSNSで通じた彼女のファンであるイ・ジョンハク(ユン・ビョンヒ)と、ライバルインフルエンサーのホルギ(パク・イェニ)に突き当たる。
「他人の人生を盗み見る」――盗むかどうかは置いといて、他人の人生を見てるのは間違いない。
ソラとジョンハク、ホルギの関係がバズる要素そのもので、実はジョンテもストーカー。
この作品には被害者がいない。
そこをラストでキッチリ宣言して現実世界に引き戻すのはさすが。
シン・ヘソンが29歳というのには笑ってしまったが、彼女があれで消えるわけがないので、なんとなくエンディングは予想できた。
ここはパラサイトのイ・ジョンウンと同じ。
しかし、サイコパスとソシオパスの二面性からくる、自己中心で承認欲求だけで生きてる女をよく演じていて、一見、がなるだけの軽く見える役をよく演じてると思う。
はじめは事務員(シム・ダルギ)を伏線と思っていたが、カスリもしなくて、一本取られたと思った。
このあたりは役者さんが背負ってきたキャリアやと思う。
そう思うとユン・ビョンヒの主演も見てみたい。
