ひょっとしたら「自分の息子を撃ってしまったかもしれない」とい父親の不安と疑念がさらなる疑念を呼び、不安が村を覆い住民を巻き込んで皆さん愚かな行動を取る、浅はかな警戒心と村社会の団結と閉塞感を描いた作品。
やってることだけを見てると、貧しさからの抜け出しから始まる世の性を描いたサスペンスコメディにも見える。
特に終盤は、それこそ人間の愚かさ弱さ滑稽さを描いたドタバタ運動会。
田舎の村社会にはあったと思うし、未成熟なコミュニティでは今もあるように思う。
付き合いが濃い村の人間の世話になって暮らしてきたキム・ヨンス(パク・ホサン)が「ロト1等」に当たってしまい、妻チェジョン(キム・スジン)も大喜び。
そこで息子インソン(イ・ヒョジェ)に「お金の心配はするな」というと彼は村を出たいという。
だがヨンスは住み慣れた村を出たくない。
ある日、村の住民たちでイノシシ狩りに出かける。
ヨンスは猪を追い詰め狙いを定め撃ったが、人の気配のようなものを感じ、反応が違うことに違和感を覚えるが、これがことの発端になる。
そしてインソンの高校の担任ヨンジェ(イ・ヂウォン)が家に訪ねてきて、インソンとムン・ヒョンミン(イ・ミンジェ)が一緒に学校を出たまま行方知れずになっているという。
そしてヨンスが人を殺したことを知っているという電話がかかってくる。
さらに家出人捜索の刑事チョン・ドゥマン(ファン・ジェヨル)も訪ねてきて、ヨンジェが手がかりらしき話をドゥマンにする。
さらにヒョンミンのおばあさんオクスン(イェ・スジョン)は痴呆で、やたらとヨンスの悪口を言う。
ヨンスの妻チェジョン(キム・スジン)はオクスンのことを快く思っていない。
諸々の前設定が整いストーリーがなんとなく見えた感じがするが、どこか共感できない。
ストーリーの進め方にもやもやする点があるけど、あえてそうしてるようにも見える。
この作品が言いたいのは「ロト当選」という幸運が「イノシシ狩り」で奈落の底に落とされる天地逆転の悲喜劇なんだろうけど、とった行動を考えると運が悪かったとは言え良ではないからね。
このあたりはキム・スジンの演技を見てると、後ろめたさもありそうやし。
他人に干渉し、良い意味ではお互い助け合い困ってたら世話をする。
しかし、これが無償ではなかったということ。
では何?とも。
宝くじが当たったり、労せずに大金が手に入ったら人から妬まれる、だから内緒にする。「幸運が悲劇の引き金になる」とも言うしね。
私もこれまで生きてきて身の回りで「宝くじで1等当たった」という人と巡り合ったことがない。
途中ストーリーの進め方と雰囲気が「誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる」に似てると思った。
脅迫電話のネタバレは笑える、子供の頃にやったことあるし。