心と体と | 三匹の忠臣蔵

三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

プラトニックラブがフィジカルラブになる過程を描いた静かなラブストーリー。
食肉工場の生々しい現実描写とは真逆な森の映像が神秘的で独特な世界観で美しい。
潔癖症でもなさそう、神経質でもないようなマリア(アレクサンドラ・ボルベーイ)は人間そのものが苦手で、周りに気を使うし、周りも気を遣う。
彼女にしたら規定にしたかってるだけやし、そらこの性格ならBランクにするわな。

周りは彼女を白雪姫と呼び、好奇心から距離を取るが、エンドレ(ゲーザ・モルチャーニ)だけがマリアを理解しようとしている。
しかしエンドレは財務部長で、人事ではないので業務上ではなく個人的な気持ち。
そして交尾剤が盗まれる事件が起きる。

あの薄着姿は何なんや、そして「初めての射精は?」とか一見不謹慎にも思える問い。
そらあんな薄着やったら胸元に目がいくのも仕方ないし、エンドレが言うのも理解できる。
工場のみんなも言ってるけど、とにかく質問がおかしい。

そのおかしな質問に対し、マリアは日付までスラスラと答えるので、検査官も正確さに驚くが、彼女には不自然さを感じる。
そしてマリアは夢の話をするが、なんか「交尾」がキーワードになっていることに、見ていてちょこっと違和感を感じた。

そしてエンドレとマリアが呼ばれ、同じ夢を見ていたことがわかる。
神秘的な雪の森の中で、角の生えた雄の鹿と雌の鹿がいたけど、あれが2人の夢で、鹿がそれぞれってことやな。
また同じ夢を見たであろう2人、エンドレは夢の共通点を見いだし整理しようとするが、マリアはどこか否定的。

エンドレは夢の内容を紙に書き留めマリアに渡すが、夢が取り持つ恋の物語なのが分かってくる。
納得した2人は「夢で会いましょう」と笑顔で挨拶するが、「夢であいましょう」ってテレビあったよな。
神秘的な夢のシーンが不思議で、何度も見ているうちに二匹の鹿がエンドレとマリアの会話にも見えてくる。

やがて、マリアがエンドレを信用したのか彼に「携帯を買いに行く」とおかしなことを言い出すが、心を許し始めたんやろうな。
それでもエンドレは距離を置くような振る舞いをするが、エンドレが検査官に嘘をついたりと、どこかぎこちない思春期の少年少女のように映る。

この後もお互いを意識してデート前の2人が化粧水を買ったりするのが微笑ましくも見えるが、どこか必死さも感じる。
だがラストはあれで良かったんやろうか?とも思う。