チリ・マウレ州リナレスに存在したカルト団体「コロニア・ディグニダ」での拷問や性的虐待、殺害の実態を描いた作品。
行方不明者の捜索を求めた告発が続いているけど、オウムのように名前を変え、今も存在するらしい。
まずは脱走を阻止するような柵がある施設ってどうよって話。
そもそも、なぜ奨学生に選ばれたのか。歌が上手いだけでそんなおいしい話がそうそうあるわけでもないのに、と物語は進んでいく。
事実を伝えるためか、それとも作風に合わないからか、バックサウンドなどの効果音もなくセリフだけで進行する。
出てくる施設の関係者が皆さん訳ありげ。
奨学生としてドイツ系宗教施設に入居したパブロも、施設内の異常には気付いたが、集団を羊の群れのように操るパウルの”おかず”になってしまう。
パウルが一人ひとり舞台に上げて行いを正すようなシーン、これってマインドコントロールそのもので、数年前にあった「尼崎事件(殺人死体遺棄事件)」を思い起こさせる。
正常な感覚では「なぜ?」としか思えないけど、人間は支配下に置かれると服従してしまうんだな。
「悪魔のにおいがする」と言うが、パウルがどのように支配下に置き洗脳による支配が可能になったのか、そこが描かれていない。
そう言えばオウム真理教も「地獄に落ちる」がキラーワードだったよね。
社会は黒と白が両極にあり、間のグレーで暮らしてる分にはいいけど、どちらかに分けようとして入りたがる。
分離された善悪の世界で神は人間の証人要求の源泉で、悪魔・地獄は罪の源泉、この間で生きていけない人が落ちいるのかな。
と勝手な妄想をしてみた。
同様の映画は小説が原作ではあるが「スリーパーズ」、実話で後に法律になった「トガニ」があるが、宗教がらみのこの手の事件は多いように思う。