私的には数あるタイタニック映画で一番好きなのがこの作品。
映画冒頭の『冷笑的な物言いは過激思想とも見受けられるが、国家の偉業を卑下している。英国人なら誇るべきだ。』というセリフは、当時のタイタニック号に対する英国の誇りと自信を象徴していて、当時のタイタニックに対する受け止め方をよく表していると思う。
そのため、沈没がいかに衝撃的な出来事であったのかもよく理解できる。
始まってすぐに氷山との衝突という本題に入る、無駄のないストーリー展開に吸い寄せられる。
周辺の船の対応など船員の緊迫した対処が描かれており、今につながるパニック映画の王道を行ってる。
船員が拳銃を撃つシーン、3等客室が閉鎖されるシーン、設計士が暖炉の前で苦悩するシーンなど、後のジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』にも見られるエピソードが数多く描かれている。
楽団が最後までデッキで演奏を続けるシーンや、船員たちも最後まで職務を全うする姿、特に、『任務は果たした』という言葉は、彼らの責任感と誇りを表していて、見ていて胸にくる。
単なるパニック映画ではなく、義務を果たした人たちへのリスペクトと、犠牲者への追悼の気持ち。そして語り継ごうという作者の意思を感じる名作やと思う。
