邦題の「なつかしの庭」とはまったく違う内容。
戦後の混乱から軍部独裁を通じて韓国近現代史を振り返った回想録。
刑務所を出所した活動家”だった”オ・ヒョヌ(チ・ジニ)が自ら訪ね歩くことで目に映る韓国社会と、彼にとって空白の時間を埋めるように静かに寄り添うハン・ユニ(ヨム・ジョンア)。
この2つの視点を交差させることで光州事件の混乱、軍部独裁を経験した過去の世代と、その後に生まれた新世代との葛藤と和解までの時間をテーマにした作品。
追われていたヒョヌをかくまい、食わして住まして、体も許したのに彼は去っていく。
原題「古い庭園」の庭園はヒョヌが思い描いた理想社会だが、そんなものは今は存在しない。逆に新しい未来の希望はあるし、そこに託したい。
エンディングのウンギョル(ウンソン)の「アボジ」という言葉は、すべてを知った上での和解の象徴ではないかな。
そしてヒョヌは未来をウンギョルに託す。
自分の理想を追い求めた結果、刑務所に入ったヒョヌよりも、彼の犠牲になったようなユニの人生の対比が酷すぎるが、これを演じるヨム・ジョンアの怪演が光る。
ついでに、貴重なヨム・ジョンアの丸坊主が見れます。