これは楽しみにしていた作品の一つです。
実際に起きた事件をモチーフにした作品です。
事件における描写を同意なく使用したことで、被害者の家族から上映中止の訴訟を起こされ、制作側が謝罪したことで和解した。「シルミド」でも同じようなことありましたね。
タイトルの「暗数殺人」とは「被害者はいるけど、被害届も捜査もない事件」、犯罪件数と実社会で起きている件数の差を指します。
この作品は事件そのものを描くのではなく、刑事(キム・ユンソク)と被疑者(チュ・ジフン)の心理戦です。その心理描写と時代の空気感が入り混じって話は進みます。
ヌル〜っとナメクジが這うようなカメラワークとどう考えてもあとで不利になるだろう、金を渡して自白させるという斬新な脚本。
ストーリー展開にもスピード感と意外性があり、これをリアリティある演技で重心をブレさせない役者。
一見重要では無さそうに思えるシーンにさり気なく要点を随所に埋め込む凄さはさすが韓国映画といえます。
主役だけでなく脇役の演技力も作品に厚みをもたせています。
ラストにその後の刑事と被疑者がどうなったのか、映画にしては重たいです。