三匹の忠臣蔵

三匹の忠臣蔵

日々是好日。
お弁当ブログだった「お弁当にはたまご焼き」からリニューアル。
映画レビューを中心に、日々思いついたこと、感じたこと、趣味のことを書いてます。

思想信条は中道。
趣味は映画・ドラマ/ブラス・オケ・オペラ/海外サッカーなどの鑑賞。
体を動かすのはもっぱら自転車で、時々ウオーキング、フルマラソンは一度だけ。
日々ネタ/動物ネタ/時事ネタは脈絡なく私的な感懐を書いてます。

歴史に「もし?」があったらを起点にした、パラレルワールドをベースにしたファンタジー映画。

1909年、ハルピン駅で朝鮮統監伊藤博文暗殺を安重根が失敗して100年。
日本の植民地施策が成功し、朝鮮という国はもはや存在せず、朝鮮は日本となっていた。
しかし、朝鮮解放同盟などの義勇軍は、朝鮮回復を目的として活動を続けていた。
日本政府は彼らを“不令鮮人”と烙印し、掃討作戦を繰り広げていた。

JBI特別捜査隊の特殊捜査員・坂本正行(チャン・ドンゴン)も、自分のルーツが朝鮮人でありながら、日本人として振る舞うことに何の疑問も抱かず、同僚の西郷将次郎(仲村トオル)と共に“不令鮮人”の摘発に明け暮れていた。

ある日、井上財団の遺物展示会場に乱入した“不令鮮人”一味を鎮圧するため投入された坂本は、彼らが狙っていたものが「月霊」という高句麗時代の遺物だったことを知る。

坂本は「月霊」と「霊鼓台」の秘密を追ううちに井上財団と対立し、さらに暗殺者の標的になる。
やがて、「月霊」をめぐる日本の陰謀に触れたことで、親しかった同僚・西郷とも対峙し、自らの朝鮮人としてのルーツに目覚めていく。

 

 


 

 

 

クライマックスで、どう見ても金九っぽい、総司令官キム・デソン(チョ・サンゴン)が、

「安重根の伊藤博文暗殺が成功していたら」
「第二次世界大戦で日本が敗戦し、朝鮮が独立していたら」

それが“本来の歴史”であり、君の知っている歴史こそ捏造されたものだと語る。

一方、西郷には局長(大門正明)が、「月霊」と「霊鼓台」の秘密を明かす。

安重根も、朝鮮側からすると歴史上の英雄だが、日本側からすると暗殺者。
立場によって評価が真逆になる、極めてデリケートな歴史的人物。

そんな歴史問題を真正面からプロットに埋め込んだ映画を作る――というより、今考えると、そんな作品を作れた時代があったんよね。

朝鮮の歴史を真正面から語りながら、こんなトンデモ設定の作品に多くの日本人俳優が出演しているのも凄い。
しかも映画監督の今村昌平まで出演している。

この頃は、日韓の映画人交流のニュースも頻繁に伝わっていた。

 

 

 


 

 

 

しかし、この映画の核心は、安重根でも、派手なアクションやタイムスリップというSF設定でもない。

坂本という一人の男が、自らの出自と向き合うことでアイデンティティを確立していくという、私らがこれまで向き合ってきた人生そのもの。

坂本は、日本名を持ち、日本語を話し、日本人として振る舞い、日本の治安組織JBIの忠実なエリートとして、同じルーツを持つはずの“不令鮮人”を容赦なく取り締まってきた。

彼にとって「自分は日本人である」ということは、疑う余地のない現実だった。

しかし、歴史の真実と「月霊」の秘密を知るにつれ、自分が信じていた世界が偽りであったことを知る。
そして、どれだけ日本人として振る舞おうとも、血を流して戦う同胞たちの姿に心を動かされ、自分の中に流れる朝鮮人としての血を意識していく。

坂本がアイデンティティに目覚めると同時に、「親友である西郷との決別」や、「これまでの人生そのものの否定」がセットで迫ってくる。

ありがちな「祖国に目覚めて万歳!」という単純な話ではなく、個人のアイデンティティを確立することと引き換えに、これまでの人生を捨てる選択を迫られる、そんな人間ドラマになってる。

これは経験者しか分からんと思う。
ということで、今回は人に読んでもらうレビューというより、自分の思考の記録を書いてみた。

 

 

 

 

2009 로스트메모리즈 포스터, 액션 영화