1988年3月3日(木)に開催された、「'88 伝説コレクション」を見て感激した後、京都へ戻ってからのお話です。
それはその2カ月後、東京のマジックショップ「マジックランド」さんが当時毎月発行していた新聞、「MAGIC NEWS」を読んでいたときのことでした。
実物がこちら。
私はこちらを定期購読しており、毎回届くのを心待ちにし、届いたらすぐに隅々まで読んでおりました。今みたいに有り余る程の情報が無い頃のお話ですので。
こちらは1988年5月8日発行の、「MAGIC NEWS No.33」。この中に、こんな記事を見つけたのです。
「『'88 伝説コレクション』 ビデオ発売」。東京で見たあのショーが、家に居ながらにして何度でも見られるなんて、なんて素敵なのかしらと、すぐに電話で予約注文をしました。
届いてからは当然のごとく、繰り返し繰り返し何度も見るわけです。まるで同じアニメを飽きずに何度も見る幼児みたいに。
そしてそのうちに、自分でもその演技をやってみたくなり、コピーをし始めました。もちろんタネは推測で。
特にのめり込んだのが、川田浩一さんの演技でした。「ウォンド&シンブル」、「玉」の両ルーティーンとも、勝手な解釈に基づき、ひたすら練習しました。
川田さんの「玉」と言えば、投げた玉を指先でキャッチするような、曲芸的とも言えるハイテクニックを駆使するもの。ですからマジックの練習以前に、玉をキャッチする練習から始めなければならない。
左手に持った4つの玉を1つずつ投げ上げ、それを親指と人差し指の間、人差し指と中指の間…と、順番に指先で挟むように受けていく。傍目には何の練習なんだか分からないでしょうね。
そのうちに、「両手に1つずつ持った玉の片方を投げ上げ、それを逆の手の薬指と小指の間にキャッチする。その間に玉が増え、受けた瞬間には各指の間に玉が出現、4つになっている」なんてこともできるようになりました。
でもいくら上達しても、ごく限られた仲間内でチラッと見せるだけですから、練習したこと自体、誰も知らない。
こうして、人知れず行われた練習は、本当に知られぬまま葬り去られたのでありました。