「ありがとうだけじゃ言い表せない」 介助犬 石川県内唯一 タフィー引退へ
金沢・平野さん相棒8年
身体障害者の社会参画を助ける石川県内で唯一の介助犬タフィーが1月22日、引退式を迎える。介助犬を知ってもらうため利用者の平野友明さん(51)=金沢市福増町北=と一緒に200回ほど小学校に出向いた。平野さんは「いつも一緒の相棒。ありがとうのひと言では言い表せない」と感謝している。
タフィーはラブラドルレトリバーの雌で、10歳。人では70代に当たる。日本介助犬協会が11歳を引退する年と定めている。
「人間で言えば70代」
平野さんの家にやって来た2012年から、テレビのリモコンを拾ったり、玄関のドアの開閉を手伝ったりして、手足の代わりを果たしてきた。
平野さんは09年に仕事中の転落事故で頸髄(けいずい)を損傷し、胸から下が動かせなくなり、妻の克美さん(51)の介助がなければ外出することもできなかった。タフィーが相棒になり、克美さんは「私の負担はかなり減ったし、タフィーの世話をすることで夫も行動に対して責任感も出てきた」
「病院へ北陸新幹線に」
平野さんとタフィーだけで買い物に行くこともできるようになった。昨年12月には富山県砺波市の病院へ通うため北陸新幹線に乗った。「物を落としても拾ってくれる。何かあったときも、周囲の人に異変を知らせてくれるという安心感で、挑戦しようと思えることが一番大きい」と笑顔だ。
昨年3月に石川県白山市内の産婦人科病院では、出産のために入院していた長女を見舞おうとしたが、受け入れを断られた。「介助犬とは何かという正しい理解を広めていかないと」と力を込める。「県内で初めての介助犬ユーザーというプレッシャーもあった。次のパートナーとも介助犬について知ってもらうための活動を頑張りたい」とも。
平野さんは2月上旬に日本介助犬協会の愛知県長久手市の訓練施設に入所し、新たな介助犬と3週間ほど訓練をする。タフィーは平野さんの家でペットとして飼われる予定。平野さんは「なんて声を掛けるかな。ひとまずお疲れさま、これからもよろしくかな」とねぎらいの言葉を贈る。