先日、『Sugar Man ~ 奇跡に愛された男』についてブログを書いた。
このロドリゲスの波乱万丈で信じられない奇跡に彩られた人生は、本当に驚きと感動だった。
しかし、この映画の制作にまつわる話には、知られざるもう一つの奇跡が存在する。
スウェーデンの映像作家:マリク・ペンジェルールが、ロドリゲスの奇跡の物語を知ったのは06年のこと。
5年間TV局でドキュメンタリー番組を制作した彼は、アフリカと南米を旅して、題材を探していた。
南アフリカ ケープタウンでこの「おとぎ話みたいな」、今までの人生で出会った最高の物語を知る。
そしてその映画化を思い立つ。
とは言え、彼にはスポンサーもなく、映画の制作資金がない。
誰も彼に資金の援助をすることもなく、途方に暮れた。
だけど、どうしてもこの物語を映像にしたかった彼は驚くべき、行動を取る。
通常の映像用カメラのない彼は、持っていたアイフォン4に、たった1ドルのスーパー8をダウンロードして撮影を始めた。
いまどき、日本なら女子高生でも持っているアイフォン4(今は5かな?)で映画を撮影しようなどと誰が考えるだろう。
そしてこのドキュメンタリーのかなりの部分は、このアイフォン4で撮影したというから驚きである。
それでも4年後には、9割がた撮影は終わっていたが、撮影をあきらめたらしい。
ありったけの資金をつぎ込んだ彼は洋服も買えなくて、穴の開いた服を着て、食事にも困っていたらしい。
そしてこのままでは生活ができなくて、撮影を断念し、お金の稼げる普通の仕事を始めた。
だが、そのぎりぎりの所で、サンダンス映画祭に出品してみようというスポンサーが現れた。
サンダンス映画祭でオープニング作品に選ばれた本作品は大評判を呼んだ。
そして各地の映画祭で賞を取り、米国でたった3館で封切られたこの映画は瞬く間に、50倍の150館以上で上映されることになった。
そして見事に第85回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。
これこそまるでおとぎ話のような奇跡のサクセスストーリーである。
もし、マリク・ペンジェルールがあの時点で映画化をあきらめていたら・・。
もし、サンダンス映画祭でのスポンサーが見つからなかったら・・・。
この奇跡の物語も陽の目を見ることなく、歴史の中に埋没して人々を感動させることも無かっただろう。
そう考えると自身の奇跡だけでなく、ロドリゲスは本当に『奇跡に愛された男』だったのかも知れない・・。
