これまで、僕が書いてきたのは映画と音楽に関するブログ。
音楽に関しては、高校時代からバンドをやってきて、今もいろんな楽器をやってるから。
そして映画に関しては、映画会社に勤めていた時に、かなりの数の映画を、観客の目線で作品として、
またプロデュース側から商品としても観てきたから。
今日は、美術について書いてみたい。
僕の亡くなった父は、若いころから油絵が趣味で、数十年絵を描き続けていた。
子供の頃、父のアトリエを除き、何とも言えないインクの匂いと、キャンバスに向かい、
油絵を描いていた父の後姿を思い出す。
そのせいで、大学時代もたまに上野美術館などに出向いて、絵を見るのが好きだった。
そして最近、一番のお気に入りの画家が、エドワード・ホッパー。
20世紀アメリカの具象絵画を代表する一人。
ホッパーは1882年にニューヨークで生まれ、1967年に他界している。
最も活躍したのが、1920年代から1950年くらい。
その当時のもっともアメリカらしい、都会と田舎の風景を単純化された構図と色彩、
大胆な光と影の明度対比、強調された輪郭線で描かれる彼独特の孤独感漂う作品は、
アメリカでも高い人気があり、見る人の心を惹きつける。
特に僕が好きな絵は、やはりホッパーの1942年の代表作でもある『NightHawks』(夜更かしをする人々)。
舞台は路地裏にあるダイナーと呼ばれる食堂。
少し変わった三角形のカウンターに3人の客と給仕をするボーイが一人。
奥に座るカップルの2人はどこか、よそよそしい雰囲気。
男はタバコに火をつけたまま、うつろな眼差し、鮮やかな赤いドレスの女も退屈そうにしている。
そして画面中央には背を向けて座る男。誰一人視線を交わすことなく、会話も聞こえてこない。
各々物思いにふけっている。
そして店内からこぼれる光が、どこまでも続く闇の深さを強調している。
都会の片隅の、不安、孤独、焦燥。
観る人にいろんな感情を湧き起こす珠玉の絵画。
一目で虜になりました。