映画『American Sniper:アメリカン・スナイパー』を観た。
AFI (アメリカン・フィルム・インスティテュート)アワードで、2014年ベスト映画を受賞した話題作。
主人公はイラク戦争に4度従事し、米海軍・特殊部隊ネイビー・シールズに実在したスナイパー クリス・カイル。
そのクリス・カイルの自叙伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」が原作。
当初、スティーブン・スピルバーグが監督という話もあったらしいが、80歳を超えて健在のクリント・イーストウッドが監督を努め、ブラッドリー・クーパーが主演。
「プライベート・ライアン」を抜いて、戦争映画としては、史上最高の興行収入額を叩き出し、オープニングでは、全米で「アバター」超えの成績を達成した。
4度のイラク戦争への従軍の戦争シーンは迫力があり、後に過激派組織ISILへと変貌するテロ組織との息詰まる戦闘シーンは圧巻。
特に敵の1000m級の射撃を行う、元射撃オリンピック選手の敵スナイパー「ムスタファ」と遭遇し、以後何度も死闘を繰り広げる。
サブタイトルにあるように、国家のために戦い、160名ものテロリストを射殺する。
そして、「ムスタファ」との対決に勝利し、ついに殺された友の敵を討つ。
ただ、このテーマはあまりにも重い。
国家のため、友を守るために、戦うのだが、戦場から戻る度に、カイルの心が壊れていく。
『正義』の定義は、立ち位置によって代わる。
「国家を守る」使命と、「愛する家族を守る」責任、どちらが重いか。
果たして、戦争とは何か。
いろいろ考えさせられる映画だった。
そして、退役後、家族の元へ戻るが、心は戦場へ残したまま、普通の生活に戻れない。
そして、帰還した軍人の心のケアの仕事にようやく、自分の居場所を見つけたのも束の間、PTSD(心的外傷ストレス症候群)の帰還兵に射殺されてしまう。
ラストシーンは、全く無音のテロップでこの事実だけを淡々と伝える。
このラストは、戦争を肯定するでもなく、非難するわけでもなく、クリント・イーストウッドの無言の国家が決めた戦争へのアンチテーゼだったのだろう。
