「健斗…けんとぉ…」




「ほらまた泣く~


顔ぐちゃぐちゃなってんぞ!」




「もとからぐちゃぐちゃだから


も、いいの~…」





「ほら!プレゼント渡すから!


顔あげなよ」







私はプレゼントのことなんて


すっかり忘れていた


健斗からもらった言葉のすべてがプレゼントだと想っていた




「目つむってみ?」




言われるままに目をつむる私




左手をとられ、薬指にひやっとする感触



「はい!開けていいよ」





そこには、きらきら光る指輪があった




「え…こんなの…」



「はい!いらないとかゆうのなしね!



俺の気持ちだから



これがあるかぎり、俺はお前を守り通すよ



いつまでも」




けんと…ありがとう



本当にうれしかったよ



君に出会えてよかった



また涙が流れてきた



「美羽?大丈夫か?」




「あたしもね、きっと健斗のこと



好き、なんだと想う



でも今まで好きっていう感情が


わからなかったから


今でもわからないの




一緒にいたら、気付けるのかな?



あたしにでもわかるのかな?



健斗と一緒にいたいって気持ちは



ずっと一緒にいたいって気持ちは




好きってことでいいのかな?」







――――



「それは俺にもわからない



けど、2人で見つけていくことは


できるんじゃないかな




俺、美羽を幸せにしたい


俺がいることで、美羽が幸せだと想ってくれるなら




俺はいつでも美羽のそばにいるよ



離れないからさ」




あたしも好きなんだ



健斗が最近来てくれるようになってから



世界に光が射したように楽しかったんだよ




でも、これが本当に好きっていう感情なのかな?



今まで誰も好き、にならなかった



好き、という意味がわからなかった



あれは漫画の世界で、



夢の世界で、



私の世界には関係ないと想っていた




ねぇ、私の今のこの込み上げてくる感情は




好き、ていう感情なのかな?




わからないよ…


なんでなんでなんで?



私に引かれるところなんか


1個もないじゃない


それどころか…



「…気、使わなくていいよ



優しさは、逆に痛い…」




怖かった



病院にずっといないといけない私が



なんで、どこを?好きになったの?



彼の優しさなんじゃないかと想った




「は?なに言ってんの



俺は、お前が病気だからとか



病院にいないといけないからとかじゃない




これは、幼稚園の時も想ってた。




ちっちゃいなりに、美羽を守りたい



美羽と一緒にいたいって想ったんだよ




その気持ちは今でも変わらない



むしろ今の方が強い



美羽を、守りたいんだ」



「俺さ、最初お前と会ったとき



引かれたって話したよな?」



「うん…」



「あれ、あながち嘘じゃない



美羽とあそこでぶつかった瞬間



幼稚園のころ好きだったやつだって


思い出したんだよ」




…え?どういうこと…「俺!」




「お前のこと、好きなんだ。」





な…んで…私…?