こんにちは、文筆家、ヨガインストラクターの木谷美咲です。
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根本昌夫先生の小説教室に行ってきました。
今回で第3期の4回目です。
いつものように受講生の方の作品を合評。
児童文学作品や常連の方の作品などがありました。
活発に作品が提出されて、読み応えがありました。
その後、芥川賞受賞作品、九段理江さんの『東京都同情塔』の合評。
文學界新人賞受賞作品の『悪い音楽』は読んでいました。その時にシニカルな作風と思ったのが、
『東京都同情塔』でも発揮されていました。
文藝春秋のインタビュー記事では、三島由紀夫の『金閣寺』を参考にされたと九段さんは答えていました。
それが、実際に読んでみると、三島というよりもSF小説の感じ、特にP.K.ディックの小説の雰囲気を感じ、
更には村田沙耶香さんの『コンビニ人間』『消滅世界』を思い出しました。
社会問題も織り込みつつ、どこか俯瞰的で無機質な印象を受けました。
あとは、文章の濃密さと言葉の持つ熱。
こういう作品は例えて言えば、文章の味が濃い感じがします。
受賞されなかった作品は、こういう作品に比べて味が薄い印象があります。
この味はどうすれば出せるのか、
書いている時の熱なのか、切実さなのか、書かなければいけないという使命なのか、
それともそういった精神論ではなく、もっと技術的なものなのか、
その謎を知りたいものです。
文学賞受賞作品を読んでいて感じるのは、
どの作品も「今」この作品が受賞することに意義を持っていることです。
時代性であったり、新奇性であったり、ただ面白い作品ではなく、その作品が世に出る意味があることです。
逆にいえば、今世に出す意味の作品を書かなければいけないということなのでしょう。
根本先生は『東京都同情塔』に対して、
もっと鋭く書けたはずだし、もしくは逆にもっと面白く書けたはずと。
そして、九段さんは筒井康隆の系譜だとおっしゃっていました。
そうですね、確かに筒井康隆さんの小説の系譜と言われれば納得です。