こんにちは、文筆家、エッセイスト、絵本原作者の木谷美咲です。
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著書『官能植物』の装丁を手掛けてくださった岡本洋平(岡本デザイン室)さんが、
新たな本を装丁されたとのことで、SNSで発信されていたので、
何気なく見ていたところ、
あまりの美しさに一目惚れしました。
その本は、『幽霊綺譚 ドイツ・ロマン派幻想短篇集』(識名章喜訳/国書刊行会)
美しい青い色。
函入りの上製本です。
函だけでも美しいのに、本の表紙。銀の細工。綺麗だけれぢ、鱗のようなちょっと気味の悪い図柄。
見返し
扉絵
扉
美しいとしか言えません。
思わず語彙貧困に陥ります。
特に美しいと思ったのが、黒字に金色が浮かび上がる扉絵。
一瞬紙が透けているのかと思いました。
この絵は、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ作「東屋」だそうです。
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒはドイツのロマン主義の画家で、
風景画で恐怖を孕んだ美を表現し、見るものをざわざわさせる作風はぴったりです。
また、驚いたのが見返しです。
和紙のように紙が縮れていて、ビロード感があります。
官能植物の見返しも赤色でした。思わず2冊を見比べてみました。
私の撮影技術の未熟さにより、写真だとわかりにくいのですが、
官能植物の見返しの方が暗い赤、酸化した血に近い色で、ハエトリソウのトラップの内側の色です。
質感もマットです。
『幽霊綺譚 ドイツ・ロマン派幻想短篇集』の方はより鮮やかで鮮血の色。質感は和紙のよう。
もしかしたらドラキュラの棺桶の内側の敷布をイメージされているのかなと思いました。
本のコンセプトによって見返しの紙質が変わること、
その本のコンセプト、考え方について装丁から思いを馳せました
本は実用的な側面もありますが、美術作品の側面もあるんですね。
(官能植物は残念ながら市場在庫のみで絶版になりますが)
またこのような装丁をしていただけるような文章を書き、
作品を創りたいと心から思いました