邪魔/奥田英朗 | 無題

無題

いろいろと

邪魔/奥田 英朗

¥1,995
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☆あらすじ
始まりは、小さな放火事件に過ぎなかった。似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやる-。現実逃避の執念が暴走するクライムノベル。

☆感想
邪魔な存在。不都合な存在。こういうものは生きることと不可分だ。
邪魔なのに、端折るべきかもしれないのに、避けられなかったり、やりこまれたり、時には自ら背負い込んでしまうのが人間なんだろう。
読了後、一番に、なんのためにこの本書いたのだろうと悩んだ。
平凡な主婦から転落人生を余儀なくされる恭子さんが可哀想過ぎやしないか?
確かに人生助手席のような生き方しかしてこなかったのかもしれないけど、それにしても試練が多過ぎる。試練というより、なんだろう。地獄?

あと子供なんてこの先どうすんだよ、というくらい可哀想。
世の中には救いようのない人もいるんだってことなのか。
どんなに辛くても生きていかなければならない!泥臭くっていい、ずる賢く、地味でもいい、でも生きろ!ってことを伝えたかったのか?
刑事さんは素敵な仲間たちがいるようでよかったわ。

ストーリーはひとまず置いておこう。この本は二段組なうえに450ページもあるのに、止まらず読み進められた。
それほど引き込まれる文章で、ユーモアもきいていて、無駄な描写が心地よいくらいに無かった。そして妄想を許さないというような生々しさ。私の母が恭子とほぼ同じ境遇のパートタイマーだから、なぜここまで的確に描けるのかと息をのんだ。それに恭子の人格の変貌っぷりも、すごくリアルだった。人間ってこういうふうに壊れていくのだと思った。
桜桃の会で活動していた頃からの彼女の普段の会話の理屈っぽさというか、まくし立てる感じは、宗教に洗脳された知人そのもので衝撃を受けた。
政治思想も行き過ぎればカルトなのかもしれない。

しかし、うまいなあ。ミステリ書く人は、要所を簡潔に書くのに長けてるのかな?
後味は良いとは言えないけれど、面白く読めた。後味というか、後味なんだろうけれど明日は我が身だと思ったらすごく不安になった。
欲を言えば、被害者とも言える恭子と子どもたちは救われてほしかった。ご都合主義がよかった(笑)