5/23の公演を聴きに伺えませんので、本日、聴かせて頂きました。
詳しくは、また明日にでも書かせて頂きます。芙美香さん、そしてお母様、今日はお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
5/7
イ長調と言う調性、独特の明るく明晰な響きがあり、イメージが湧きやすい調性だとも言えます。私のようなヴァイオリンを弾く人にとっては、特に弾きやすく馴染みのある調性だとも言えます。
モーツァルトはこの調を好んでいたようで、代表曲だけでも、交響曲第29番、ヴァイオリン協奏曲第5番、ピアノソナタ第11番「トルコ行進曲つき」、そして今回お聴きしたピアノ協奏曲第23番、そして、楽器の特性のおかげで誕生したのかもしれませんが、晩年に書かれたクラリネット協奏曲やクラリネット五重奏曲などの中に、明らかに共通するイメージが浮かび上がります。
一方で、この曲の第2楽章で、モーツァルトがイ長調の並行調と呼ばれる嬰へ短調を使ったことは(アダージョと言う速度指定と同じく)稀で、イ長調の明るさとは大きく異なる、悩ましくメランコリックで寂しげな情感が充満する音楽に一変します。
さて、芙美香さんが弾かれたこの素晴らしい協奏曲のソロ、まだまだ良くなる余地のある、しかし、芙美香さんの良さも十分に発揮された演奏だったように思います。イ長調と言う調性も、彼女が持っておられるキャラクターに良く合っていますので、この曲とは好相性と言えるのではないでしょうか。
彼女のピアノは、いつか書かせて頂きましたが、音の太さ、ボリューム感、リズム感、曲への前向きさ、思いっきりなど、音だけお聴きすれば、男性が弾いているような、そんなダイナミックなピアノを弾かれます。そして、私には、音をお聴きしただけで、彼女の演奏だと断言できる、そんな独特の個性をもお持ちになる、私の大好きな素晴らしいピアニストです。
昨日の演奏、内藤 菜穂子さんがオーケストラパートを受け持たれていましたが、全体的に少し精彩を欠いた感があったように感じ、また、オープニングのテンポも、芙美香さんが望んでおられたものでは無かったようにも感じましたが、そんな中、速いテンポの部分では、芙美香さんらしい勢いと、イ長調と言う調性も持つ音楽的な喜びや明るさが十分感じられ、独特の打鍵によるメリハリ感も十分で、彼女の持つ音楽性に良く合う音楽と言う感じで、オケと合わせる本番も期待出来る、そんな演奏のように感じました。
他方、嬰へ短調と言う、非常にくぐもった寂寥感のようなものを持つ独特の調性によるアダージョ楽章は、表現の面でわずかに作為的な印象があり、まだまだ良くなる余地があるように感じました。もっと、いつもの芙美香さんらしい「率直さ」、そして、モーツァルトが書いた音符の奥に隠されている「真実」が、彼女の弾かれる音楽に出て来て欲しいと思いました。本番までまだ二週間あります。もっと率直に、そして素直に、モーツァルトが書いた音符・音楽に向かい合って行かれれば、何か新しいものが見つかり、更に更に聴き手の心にも届くのではないか、と思います。
二週間後、この日の演奏を超える、より素晴らしいオケとの共演=協奏曲と言う楽曲が展開出来ますよう、心から願っています。


