2013/12/21 兵庫県立芸術文化センター管弦楽団 第30回名曲コンサート | 音楽と競馬、思ったことを書いて行きます





1,000円の席は埋まっていましたが、隣接する3,000円の席には空席が目立っていました。1,000円席から良く見える方の席に移動したい方が多く見られ、スタッフとトラブルになっている場面もちらほら見られました。開演直前でしたから、こういうのはちょっと落ち着きませんね。また、2つ隣の席の方が演奏中ずっといろんな「音」をだされ、これにも大迷惑でした。今まで以上に「客層の問題あり」と言った印象でした。


木嶋真優さんのヴァイオリン、かなり期待して出かけましたが、決して悪くはなかったですが、あまり心には響いてはきませんでした。それにしてもメンデルスゾーンのこの曲は「曲者」ですね。この曲にはいわゆる「中庸さ」「バランスの良さ」が求められると思うのですが、木嶋さんの演奏は、その面では問題無かったと思います。ただ、何しろ出だしからテンポが速い。オケのテンポ設定自体速いのに、ソロはそれに輪をかけて弾き急いだ感じで、前のめりに進んで行きます。テンポ面でまったく落ち着かない演奏になってしまいました。冒頭の有名な旋律からして音程は不安定、加えて右手で作られる音の「アタック」がきついんですよね。以前聴いた彼女はこうではなかったんですが、ザハール・ブロン先生の教えがこうなんでしょうか。ヴィブラートもあまり好きな感じではありません。発音時にヴィブラートをかけずに、少し間を置いてから揺れが大きめなヴィブラートをかけるんですが、その瞬間に音量が不必要に膨らんでしまい、多少安っぽい音楽に聴こえてしまいます。第2楽章のようなテンポの遅い曲はまだマシで、第3楽章に繋がる部分は非常に美しく、映えていました。第3楽章はオケとのコミュニケーションが悪く、かなりずれてしまう部分もありましたし、オケの方もケアレスミスが目立ちました。「ブラヴォ」が盛んにかかっていましたが、個人的にはそこまでの演奏だとは思いませんでした。木嶋さんの「立ち位置」から考えても、「オケとの融合」と言うことはあまり考えておられなかったように思います。アンコールのクライスラーの無伴奏曲はさすがに見事でしたけどね。

指揮のジョセフ・ウォルフさんの曲造りは結構好みです。部分部分強調するような場面は少なく、ブラームスは「一筆書き」のような趣で以って、曲の全体像を描くのに成功していたと思いますし、シベリウスも適切なテンポに時折常識的なルバートを織り込みながら、それでも部分を強調し過ぎることもなく、全4楽章を見事に聴かせ通してくれたと思います。惜しむらくは、練習時間が短かったからなのか、楽員の単純なミスが目立ってしまっていたことですかね。第2楽章では弦奏者が出を間違えてしまい、残念ながら大きな傷を作ってしまいました。これは「若さ」の裏返しと言えるとも思いますが、プロの舞台ですから、もう少し慎重に進んで欲しかったですね。また、弦楽器群の音色に「うるおい」のようなものが感じられにくい(あっさりしていて、時に事務的に聴こえる)のは、会場のせいなのか、若い楽員が多いせいなのか、あるいは12型と言う薄い編成なのかはわかりませんが、聴いていて残念ですよね。木管群は総合的に良かったですが、金管は多少「アメリカン」な感じで、シベリウスが求めたかった音色には遠く、表現的に不十分だったような印象で、残念でした。

定期は3度の舞台がありますが、名曲コンサートはたった一回限りの舞台です。だからこそ、より思慮深く臨んで欲しいものです。