とにかく、とにかく素晴らしい、今年これまで伺ったライヴで、最も心に残る演奏会でした。とにかく曲が好みですね。後期ロマン派の「良いとこ取り」のような感じで、マーラーっぽい楽想がいたるところにこれでもかこれでもかと響いて来ます。もちろんワーグナーのような響きもありますし、シューベルトから続く系譜の音楽と言う聴こえ方もします。私は音楽を聴き始めたころから「ホ長調」と言う調性が好きでした。ヴィヴァルディの「四季」やバッハのヴァイオリン協奏曲第2番、ドヴォルザークの弦楽セレナーデ、ワーグナーのタンホイザー序曲、ブルックナーの交響曲第7番などなど、どれもこれも名曲で、響きが明るい割に、聴いているととても厳粛な気分になるんですよね。必然的にこれまた大好きな5度上のロ長調も多く登場し、心が満たされます。曖昧さが無い調性ですし、演奏する方もフラットが多い調よりも難しいですし、弦楽器が左指がとても疲れる調でもあります。でも、聴いていて、そして演奏していて幸せな調性でもあるんです。
特にヴァイオリンパートに非常に難儀なアルペジオが出現していたんですが、作曲者はきっとハープを用いて表現したかったんじゃないかと思います。ハープを使わなければならない編成を避け、そしてたどり着いたヴァイオリンのアルペジオ、逆に効果的だと言うことも言えますが、それをヴァイオリンで弾かされる身にもなって欲しかったですね・・・(苦笑)。超絶技巧の連続でしたが、非常に良く弾けていたと思いますし、それを超えて充実した音が出ていたと思います。後ろのプルトまで良く聴こえて来ていました。管楽器は時に不安定になる場所もありましたが、それは「傷」とまではならなかったですね。出て来る音・音楽が充実していた証拠ではないでしょうか。交響曲の充実ぶりに、前半の小品群が多少霞んでしまったのは仕方なかったでしょうか。指揮の寺岡さん、奇を衒ったところの全くない大変誠実・実直な指揮で、曲の良さ、アウトラインをくっきりと表出しておられました。変にこねくり回すところがないのが、寺岡さんの最大の美点ではないでしょうか。メリハリも良く付いていて、寺岡さんの良点が余すところなく出ておられたと思いました。この手の曲にしては客席も良く埋まり、関心の高さがうかがわれました。今日は、真剣に聴いている人と寝ている人の両極端だったと思います。客席はいつもに増して静かでしたよね。プレトークはあっても無くてもどちらでも良かったような印象です。メロディは例の「エデンの東」似のもの以外思い浮かびませんが、それにしても、とにかくとても後味の良い素晴らしい演奏会でした。

