神戸で行われるこのコンクール、もう13回目になるとは知りませんでした。それどころか、この施設や運営団体のことも、地元にいる音楽好きの私も、実は昨秋まで知らなかったんですよね・・・。若手と思しきピアニストが、録音審査を経て32人に絞られ、ここ神戸で2次審査に臨んでいます。曲は25分程度で自由にプログラミング出来ると言うことで、曲目も個性が試されますし、それ以上に難物なのが、非常に珍しい「ブリュートナー」と言うメーカーの楽器を使用していることです。会場と同じ楽器では練習出来ないのか、ペダルの感じがいつもと違うような感じ・・・など、戸惑っていた方もお見受けしましたし、繊細な音色が特徴(らしい)この楽器に合う選曲や打鍵なのかと言うことも上手に聴かせられるかどうかの大きな要素のように感じました。
午後の2コマ目から8人のピアニストを聴かせて頂きました。見覚えのあるような方もいたように思いますが、このコンクール、審査中は審査員も出場者もシークレットと言う建前になっていますが、審査員の中には存じ上げている方もいました。
聴衆にはエントリーナンバーと曲目が刷られた簡単なプログラムしか手元に頂けません。昨日のプログラムはこんな感じです。
第2部と第3部しか聴けていませんが、プログラム・演奏ともに素晴らしいと「感じた」方がおひとりおられました。36番の方です。好みに合うと言うのもありますが、力づくで弾かなければならない曲が無く、ブリュートナーにとてもフィットしていました。ソナタ1曲だけと言う方もおられますが、ヴァラエティに富んだ選曲と言うのは、コンクールで印象付けるには大切な要素だと思いますし、その方のセンスも問われると言うことになります。36番の方は3曲プロ。古典・ロマン派・技巧込みのしみじみ系名曲、聴き応えがありました。特に、最後に弾かれた「献呈」、これは本当に息をのむ名演でした。タッチもペダルも素晴らしいし、とにかくピアノに向かう姿勢が良く、音楽を真剣に取り組んでおられるんだなあととても感心した次第です。技巧的なことはわかりませんが、彼女は間違いなく聴衆の心を捕える素晴らしい演奏をされたと自信を持って言えます。次いで印象に残った方は、8番と44番の方です。8番の方は、息を吸ったり吐いたりと言う音楽とは関係ない「異音」が目立ってしまい、そこがマイナスの印象でしょうか。ベートーヴェンの「月光」から始めるプログラミングは良かったですね。曲自体が良くないと、いくら良い演奏をしてもこういうコンクールでは不利ですよね。音楽はメリハリがあり、「場馴れ」している感じもあり、安心して聴くことが出来たピアニストでした。ペダリングが独特なのも印象に残りました。44番の方は、タッチが非常に特徴的・個性的で、レッスンを付けている先生がどういう方なのか知りたいなと思いました。曲も古典と技巧的な2曲の組み合わせで退屈感がありませんでしたし、非常に明晰な解釈で、この方がピアノで何をしたいのかが見えたような気がしましたが、他方、弾く時の姿勢が良くなかったのはちょっと気になりました。以上3人の方は、再び本選会で演奏を聴いてみたいですね。あとの5人の方は、コンクールと言う場におけるプログラミングに配慮が感じられ難かったか、演奏そのものに心を動かされなかったと言う感じでしょうか。あまりに難解で晦渋過ぎる曲ばかり並べられても、その方の一面しか見られないと言う感じがするんです。主催者からも「プログラミングは審査に影響する」ようなことが要綱書に書かれていましたし。また、演奏そのものに心がこもっていない印象の方もおられたのは、同じ音楽をする者としては残念でした。折角ここまで来られたのに・・・。ここまでは個人的な印象で、全く違うように思われる方もいらっしゃるでしょう。総じてレヴェルの高いコンクールだとは思います。
明日も聴きに行こうかとは考えていますが、これって聴くだけで結構大変なんですね。「ピアノばかり丸一日」と言うのは慣れていないものでして・・・。






