3日間続く同じプログラムの定期演奏会の中日、知人が行けなくなったと言うことで急遽行って参りました。ほぼ満席。料金が安いこともあるのでしょうけど、人気があるんですね、このオケ。第一印象はとにかく「若い」。青竹の薫りを嗅いでいるような初々しい音がしますね。とにかく音がきれいです。学生を終えたばかりのような若い団員が多いんでしょうけど、皆さん基本がしっかりしているせいか、オケの音が澄んでいます。それに関しては気持ちが良いですね。メンバー表やプログラムを見ますと、定期的なオーディションなどにより、実力のある人が前の方で弾くような仕組みになっているんでしょうか。知りませんでしたが、これって面白いですね。団員の採用や継続の仕組みは存じませんが、パンフレットも団員ひとりひとりに光を当てているような感じで、そういう意味ではやりがいがあるでしょうし、当然手抜きも出来ませんよね。穴になるようなパートも無く、そこらへんからも良いアンサンブルに聴こえるんでしょう。管楽器で時々大きく間違えたり落ちたりするパートもありますが、真摯に取り組んでいる姿勢を見ると、許せてしまいます。コンマスやトップなどの重要な位置にベテランを配したりエキストラを招いて、若い団員にアンサンブルの仕方をそれとなく教えている、そんな心配りも素敵な仕組みだと思います。
さて、演奏ですが、メインのベートーヴェン/7番、とても良くまとまっていました。音楽自体には勢いを感じるんですが、どのパートも技巧的に安定しているので、決して焦っているようにも聴こえないですし、特に第4楽章は弦が音程の難しさを抱えているんですが、ここもきっちりクリアして、とても音楽的な演奏を聴くことが出来ました。あざといアクセントも無く、すっきりとした7番でした。アンコールのロッシーニも同様です。各奏者のテクニックが素晴らしいですね。感心しました。もう少し「味わい」を感じることが出来れば更に良いのでしょうけど。問題はダン・タイ・ソンさんをソロに迎えたベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番です。前日も同じ曲を本番で合わせたはずですが、オケとソロが全然合っていませんでした。途中で大きく集中力を欠くようば場面(第1楽章・短いカデンツァのあと終結部に向かう半音で上がって行くパッセージで1拍早く出てしまい、崩壊してしまいました)もあり、どうしちゃったの?と言う感じですね。ダン・タイ・ソンさんのピアノは表面的には非常に美しいんです。弱音はもちろんですが、強めの音も決して打鍵に頼らずに体を使って柔らかい音に転化させていると言った印象です。ただ、ミスタッチが非常に多いですし、加えてとにかく弾き急ぎすぎるんです。オケと寄り添って協奏曲を仕上げる、そういった姿勢が見られないんですよね。だから慌ただしく表面的に聴こえてしまい、結果として楽しめない演奏になってしまいました。帰宅してこの方の情報を得ようとしてこんな記事を発見しました。http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/121103/ent12110312260006-n1.htm
これを読んだ後でも尚、この日この曲を弾いた意味は理解出来ませんし、心から慈しみながら弾いてくれたようにも思えません。音が美しい分、手先でひょいひょいと弾いているって感じですかね。アンコールのドビュッシーが素晴らしく良く聴こえたことから、この人の場合は今はソロを聴く方が良いのでしょうし、ご本人もドビュッシーなんかが今弾きたい曲なんでしょう。この曲、弦で人数を少しずつ刈っていましたが、これはピアニストからの要望だったんでしょう。力強く聴かせる人じゃないので、それも理解出来ました。終演後、今後の演奏会のチケットを求めようとプレイガイドを尋ねましたが、完売とのこと。こういう若くて清廉な音で有名曲を聴けるわけですから、まあ当然でしょうか。単発販売のD席は1,000円なんですね・・・。

