「ホント、何怒ってんだろアイツ・・・」

湯船に浸かりながら、浄華は何度も同じ事をつぶやいていた。

風呂から上がった望は、まだ不機嫌なような感じがした。

ソファーに座ってテレビを見ているが、クスリとも笑わない。

話しかけても生返事しか返って来なかった。

「俺、何かしたのかな・・・」

浄華は望が不機嫌になった少し前から思い返してみる。

(えっと、確か・・・)


『うるせー。しっかり生きてる証拠だ』

『分かった分かった。だったら風呂入ってもう寝ろよ。ベッドに寝ていいから』

『え・・・お前は?』

『え?ああ、俺はソファーで寝るから別にいいよ』

『・・・それでいいのか?』

『?ああ。いいから、ベッド使え。俺のことは気にす・・・』

『そうかよ』

『・・・え?』


望にベッドで寝ていいと言った辺りから、何となく望の様子がおかしかった。

(ベッドに寝るのが嫌だったのか?)

普段は自分を押しのけてでもベッドで寝たがる望が?

それはありえない気がする。

(じゃあ、ソファーに寝たかった?)

それもないと思う。

(逆に言えば・・・俺がソファーに寝るのが嫌だった?)

さっきよりは納得できる。

しかし、それでは自分に床で寝ろとでも言う気なのか。

いくらなんでもあんまりではないだろうか。

「あー、もう分かんねー」

考えるのはやめて、風呂から上がることにした。

シャツとジャージを着て、髪を無造作に拭いていたら、急にある考えが頭に浮かんだ。

(ん?望はベッド、俺がソファー、っていうのが嫌だということは・・・)







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