一方、まず残りの5千万を実行する予定をしていた大原から電話が入り、カネの段取りが遅れると言ってきた。









それを盛川に伝えると、大原が専務を務める会社である大原工業は信用できるから後払いで問題ないとのことだった。







しかし私に対しての礼金があるので、大原にはそれだけ先に払えと言ったのであるが、それも待って欲しいと答えたため


「大原さん、謝礼ちゅうのは後払いやったらおかしなことになるから先に払ってもらえんやろか」


と促した。





それに対して大原は、努力してみるが難しいかもと答えたため私は即座に東大阪まで大原に会いに行った。








私が阿蘇グループに入って学んだことは、とにかく【足を使うこと】【時はカネなり】【思い立ったが吉日】ということだ。






要するに、待っていてもカネは入ってこない、常に動いてカネを掴みに行くことの重要性であった。







金儲けに控え目は禁物、がめつい位がちょうどいいということだ。








それ以前の私ならば、そのまま大原を泳がせて待っていたろうが、即座に動いた。








大原を会社から出てこさせて詰めたところ、会社のカネを使い込んでいることが社長である父親にバレたため、勝手に動かせないようにされたのことであった。








私は大原が正直な男とは思っていなかったため、メインバンクと支店はどこだと尋ねると三井住友銀行東大阪支店だと答えたため


「ほんなら銀行に行きましょうや」


と言った。






大原は拒否したし、もう3時を過ぎてるから閉まっているというので



「お得意さんやったら職員通用口からでも入れてくれますやろ」



と言って強引に連行した。







そして職員通用口のインターホンを鳴らさせ、支店長に面会したいと言わせた。







そうしたところ、ちゃんと通されたため、大原の言っていることがまんざら嘘ではないことは分かった。







そして応接に通され、支店長が出て来た。


「坊っちゃん、どうしたんですか?こんな時間に」




ちゃんと坊っちゃんと呼ばれているのを見て、私は少し安心した。




ハッタリではなかった証明はできたわけだ。







「会社の口座から二千万出してくれ」




と大原が支店長に言うと




「ですから昨日も言いましたように、お父さまに止められているんですよ」





「そんなもん俺だって取締役なんやし、こないだまでは動かしてくれてたやろ!」






「ですから、それをお父さまに咎められまして、もう絶対に坊っちゃんには資金を動かさせるなと言われたんじゃないですか」






と押し問答をしている。







こうなったらそう簡単に現金の引き出しなど出来ないと思った私は支店長に



「実は私、この専務から大きな仕事を受注させて頂いたのですが、大原工業さんにそれだけの支払い能力があると確認できればそれで良いのです、3億ほどの仕事なんですが」 




と振ると支店長は




「あ、そうでございますか、大原工業さんとは長くお付き合いさせて頂いておりますが、その程度の資金でしたら当行でもお預かりしておりますのでご安心ください」




と答えたため




「専務、今日はもう良いじゃないですか、これ以上支店長さんを困らせても迷惑でしょうし」





と言って大原を銀行から連れ出した。





そして大原に


「大原さん、あんたがハッタリ言うてへんことは分かったけど、株の決済遅れるだけでも私に迷惑かかるんですよ、謝礼金遅れるんやったら増やしてもらわなやってられませんわ」




と強気に言った。





大原も最早あとには引けず


「いや、ほんまGさんには迷惑かけてますんで謝礼金増やすってことで引き続きお願いしますわ」



と言ってきたので




「ほんなら謝礼金5千万に書き直してください」




と言うと大原は少し慌てた様子だったが



「5千万でも安いもんでっしゃろ?
なんせあんた最終的には大儲けするんやから」




と言うと神妙に頷いた。





そして私は大原に念書を書かせ東大阪を後にした。







非常に強引ではあるのだが、金儲けはがめつくなくてはいけないのだ。