ところで名古屋といえば日本最大組織Y口組六代目の出身母体であるK道会が仕切る地区である。




しかしこの当時は統一されておらず、K道会以外にいくつかの組織があった。





ただ関西出身の自分としては、Y口組にあらざればヤクザにあらずといったような思いがあり、Y口組以外の組織に属するヤクザには何ら威圧感も覚えることはなかった。





実際、ソープ嬢の元カレなどが組名を名乗り押しかけて来てもYの枝でない限り強気でモノを言っていたし、親しくしていたオヤジが幹部であってもY系でなければ特に臆することもなく付き合っていた。





だから名古屋の独立組織が開帳している賭場にもよく出入りしていた。





当然そんな賭場に出入りしていると深みにハマり持ちガネを全てスッてしまうことも多々あった。





ただ博打というものは負けているほど熱くなるわけで、取り戻したい気持ちが燃え上がるものだ。





ただ、現在と異なりコンビニATMはおろか銀行のキャッシュコーナーも夜はやっていなかった。





こんなときこそ金融屋が便利なのである。




知り合いの金融屋に連絡すればカネを運んでくれる。





ミナミの萬田はんほどの勢いはないものの、速やかにカネを運んできてくれる。





この当時は医学部の学生証で軽く100万は出したのだが、私の場合は本業のヒモ稼業が評価されていたので1度に300は引っ張ることができた。




ちなみに金利は月に五分であるので100万で1ヶ月5万の利息がつく。




銀行よりは断然高いが萬田はんのトイチ(10日で1割)よりは安い。




この当時でも博打場で借りるカネには1日で1割の金利がついたから萬田はんでも良心的で、その金融屋などは神様みたいなものだ。




しかしここがミソで、相手はこちらをとことん調べた上で取りっぱぐれが無いと確信しているからゆえの金利なのである。





例えば免許証から実家の謄本をあげ、持ち家であるのか評価額はいくらかや、抱えているソープ嬢の勤務先や稼ぎなども調査済みなのである。




こちらは調査された覚えはないのだが、日頃の世間話でその情報が引き出されているのである。





いつでも追い込みに行ける自信があるから速やかにカネを出すわけだ。





後で考えれば理にかなった融資なのだが、こちらは単に自分には信用があると思い込んでしまっている。





だから金融屋をとても良い人だなどと思い込んでしまっていた。





仮に借りた300万ツルッと溶かしてしまい翌日に返しに行ってもこうだ

「なんや~もう返すんきゃ?
邪魔になるもんじゃねえし持っとったらええがや~
また勝負行くんだでよ~」





味噌煮込みの匂いがプンプンするような三河弁で説得されたりする。





そう言われるとこちらも気真面目でないタイプなので持っておく。




借りっぱなしになるから気が大きくなってまた博打に使うしまた負けるし結局金利がかさんでいくわけだ。






いつの間にか金融屋の手の上で転がされてしまっているのである。