如月が大変お世話になっている先輩、ナポレオンズの(いまとなっては元ナポレオンズと言うべきか)ボナ植木さんの新刊が出ました。
『70歳からの価齢なる人生の楽しみ方』
自分で言うのもあれなのですが。
如月は、大したマジシャンではないと思っています。
それなのに、少なくともマジシャンの中ではかなりメディアに出していただいている方だと思います。
『サンドウィッチマンに可愛がられてるだけのバーター』
そういう悪口を、同業からは言われてるらしいです(笑)
それを否定する気はありませんし、実際その通りではないかと思います。
お二人には本当によくしていただいていますし。
マネージャーさんにも事務所にもとても感謝しております。
ただ。
それだけで生きていけるほど甘くもないとは思います。
常々思っていることは。
『非常識を演じるためには、常識を識っていなければならない』
ということです。
僕らは皆さんに、非常識な世界を見せてお金をいただいています。
だから、そのためには、非常識と対極にある、常識というものをしっかりとわかっていなければならない。
そう思ってます。
ところが。
マジシャンの人って、非常識をそのまんまプライベートまで持ってきている人が多い気がするのです。
メディアでマジシャンがいまいち活躍できていないのは、そういうところもあるのではないかと思ってます。
では、僕が普段からどんなことに気をつけているか。
それが、今回の本に詰まっている気がするのです。
この数年、ボナ植木さんと何回も会ってお話をさせていただき、
「なるほど、この方はこういうところに気をつけているんだな」
と思うことが何回もありました。
30歳も歳の離れている後輩のマジシャンの僕が出たテレビをいつもチェックしてくださり、毎回のように感想をくださいます。
僕が植木さんと同じ歳になった時に、果たしてそれができるんだろうか。
いつもそう思います。
人間は歳をとると、頭も体も硬くなり、人の意見を聞けないようになります。
うちの両親なんざひどいもんです(笑)
それなのに、植木さんはそうならない。
柔らかな色気をずうっと保っていらっしゃいます。
僕は植木さんと話すと、毎度ご馳走になっているのだから気を遣わなければならないのは本来僕のはずなのに、いつもまるで自分が接待していただいているような感覚になるのです。
僕みたいな若造のアイデアを「面白い」と言ってくださったり、くだらない話に笑ってくださったり。
こないだすごく不覚だったのは、お店を出る時に
「お手洗い行っといた方がいいんじゃないの?」
と言われて、普通にモードがオフになっていたので、
「あ、僕は大丈夫です」
って言ってしまったんですよね。
で、
「行ってきなよ」
と言われて、「やべっ!」となりました。
「その間に会計済ましとくよ」
の意味なのに!如月のバカ!鈍感!!
となりました。
話を戻しますが、植木さんが植木さんでいる秘密がいっぱい書かれています。
それがまさに、植木さんのおっしゃるところの
『価齢』
なわけです。
「こんなん、全部当たり前のことが書いてあるだけじゃん」
と思える方がいるなら、あなたはきっともう、人たらしです(笑)
手の写真とトランプの写真、コインの写真しか載っていないような本ばかり読んでいるマジシャンの方には、それよりよっぽど大切なことが書いてありますよ。
今の、それなりにメディアに出していただけるようになった如月の原点は、間違いなくこの方にあります。
あ、そうだ。
植木さんは、70歳にして『新人』ピン芸人になったということですから、今度会ったら、ピン芸人の先輩として、
「植木、最近頑張ってるみたいじゃないか」
と言っときます。 ←言えない